地域医療ニュース

「脳トレ」の川島隆太教授を迎えて
茂原市で健康フォーラム2013が開催

2013. 09.19   文/梅方久仁子

計算と読み書きで前頭前野は鍛えられる

 これらのトレーニングは有効だが、ぎりぎりの難しさで実行するのは、かなりつらい。そこで、生活の中で簡単にできることはないかを探してみた。すると、数を計算したり、文章を読んだりは楽にできるが、脳のいろいろな場所に強い負荷がかかり、トレーニング効果が期待できるとわかった。文字を手書きするのもよい。

 そこで認知症の人たちに、読み書きと計算によるトレーニングを試してもらった。専用のドリル教材を作って、その人に最適の難しさでやってもらったところ、表情がなかった人に笑顔が戻る、寝たきりの人が起き上がれるようになるなど、いままでで100人以上で、大きな成果を上げている。

 一般人が応用するには、小学生が解くようなやさしい教材を、できるだけ速く解くとよい。ごく簡単な教材でも、できるだけ速くやろうとすれば、ぎりぎりの難しさにできる。1つの新聞記事を毎日できるだけ速く読む訓練もよい。あとは、料理をしたり、絵を描いたり、手芸をしたり、庭仕事をしたりするのもよい。ただ、黙っていても手が動くようなやり方ではなく、新しいことにチャレンジし続けることが大切だ。

 逆に脳の働きを下げるものとして、テレビがある。テレビを見ている間は、脳は寝ているときとほぼ同じ状態になる。そのことはしっかり覚えておいてほしい。

 どちらの講演も楽しくわかりやすく、しかも密度が濃い内容。帰路につく人々の表情は、みな満足そうだった。

読み書きと計算によるトレーニングによって、重度のアルツハイマー型認知症の方にも効果が表れたという。(クリックすると拡大します)