地域医療ニュース

「脳トレ」の川島隆太教授を迎えて
茂原市で健康フォーラム2013が開催

2013. 09.19   文/梅方久仁子

アンチエイジングではなく、スマートエイジングを目指そう

 次に第2部として、東北大学加齢医学研究所教授・川島隆太氏による特別講演「脳を鍛えて認知症を予防する」が行われた。その概要を紹介しよう。

東北大学加齢医学研究所教授 川島 隆太 氏
東北大学加齢医学研究所教授 川島 隆太 氏

 アンチエイジングという言葉には、歳を取るのはマイナスだという後ろ向きの見方がある。東北大学では、歳を取るのはより賢く(スマートに)なり、成長することだと考えて、スマートエイジングという言葉を提唱している。

 脳は、場所ごとにまったく違う働きをする。大きく4つに分かれていて、前頭葉は身体を動かす命令を出す。頭頂葉は触覚の情報を扱い、側頭葉は音を聞き、後頭葉はものを見る仕事をする。

 前頭葉の前側に広がる前頭前野という部分には、ものを考える、何かを作り出す、気持ちや行動を制御する、人とコミュニケーションするといった働きがある。意欲、集中力、学習、記憶などの働きも、ここに関わっている。

 前頭前野の働きは、人間の生活に直結する。認知症になって前頭前野の働きが低下すると、家族との軋轢(あつれき)が増えてコミュニケーションが難しくなる。やがて自発性が低下して、食事、着替え、排泄などの日常生活動作ができなくなる。だから前頭前野を鍛えられれば、万一認知症になっても、家族とコミュニケーションが取れ、自分の身の回りのことができる。そうすれば、死ぬまで家族と一緒に楽しく暮らせるはずだ。

 また、前頭前野の機能は20歳からずっと下がり続けるが、知恵や知識は、60代から80代がいちばん高くなる。前頭前野の機能低下を抑えて知恵や知識でカバーすれば、歳をとるほどよい脳になる。スマートエイジングを実現できるということだ。

前頭前野には、思考、創造、気持ちや行動の制御やコミュニケーションについての働きがある。意欲、集中力、学習、記憶などの働きもここに関わっている。
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