地域医療ニュース

「脳トレ」の川島隆太教授を迎えて
茂原市で健康フォーラム2013が開催

2013. 09.19   文/梅方久仁子

作動記憶を鍛えるトレーニング

 作動記憶を鍛えるには、主に2種類のトレーニング手法が使われる。

 1つはスパン課題。縦横3つずつ9つの点が並んだ画像で、点の色が1個ずつ変わっていく。どの点がどの順番で変わったかを記憶し、あとで答えるというものだ。

スパン課題。この9つの点の色が1個ずつ変わっていくので、どの点がどの順番で変わったかを記憶して、あとで答えるというもの。(クリックすると拡大します)

 6個ができれば7個、7個ができれば8個と増やしていって、自分が覚えられるぎりぎりの難しさでトレーニングを続けると、だんだん覚えられる数が増えてくる。

 作動記憶を鍛える方法として、もう1つNバック課題がある。Nには数字をあてはめて、0バック、1バック、2バックのように言う。2バックは2つ前、3バックなら3つ前に何が起こったかを思い出すという課題だ。

Nバック課題の例。左の課題説明は「2バック」の例。2つ前の計算式の答えを覚えておいてあとで答えていく。(クリックすると拡大します)

 例えば足し算を使った2バック課題では、2+3、1+1のような簡単な足し算の式が順番に出てくるので、1番目と2番目が出たときにはその計算結果を覚えておく。そして、3番目が出たときに1番目、4番目が出たときに2番目と、2つ前の式の計算結果を答えていく。これも、自分ができるぎりぎりの難しさで、2バックができたら3バック、3バックができたら4バックと増やしていく。

 どちらも、大学生に1カ月くらいやらせると何倍もできるようになる。中高年は大学生よりはできないが、鍛えるとやはり何倍もできるようになる。

 大学生で行った実験では、このようなトレーニングをすると、記憶力だけでなく、知能、がまんする能力、何か新しいことを作り出す能力など、前頭前野に関わるいろいろな力が上がることがわかった。面白いことに、運動能力も上がった。