地域医療ニュース

第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催

2013. 07. 08   文/梅方久仁子

長江弘子 氏
長江弘子 氏

 次に、「千葉大学に生まれたエンド・オブ・ライフケア看護学」と題して長江氏が講演をした。内容は以下の通りだ。

 エンド・オブ・ライフとは、日本語でいうと終生期・晩年期にあたる。エンド・オブ・ライフケアとは、健康状態や年齢に関わらず、死について考える人が、最後まで最善の生を生きられるように支援することだ。

 長寿・多死社会では、慢性的に老いや病気と共に生きる人が増える。病院中心の医療から生活中心の地域医療システムへと、医療の考え方を変えなくてはならない。また、地域社会のつながりが希薄になり、少人数家族で家族介護力が弱くなっている。社会全体が医療のあり方を見直し、地域社会の大事さに気づく必要がある。

 さらに、その人自身が主体になって、自分で考え、どう生きたいかを他の人に伝え、自分で選んでいくことが大切だ。

 長江氏らは、多様な当事者からデータを収集し、生きた体験を抽出してきた。そこから、当事者の目線で我が国の実情に合わせて、高齢者と周囲の人々(家族・医療関係者)が終生期を「どう生きるか」を話し合い、共有を促進するモデルの開発を進めてきた。

 今後、このエンド・オブ・ライフケアモデルを検証し、総合大学である千葉大学の多様な学部から協力を得て、エンド・オブ・ライフをナビゲートする教育・研究拠点を形成していきたい。

エンド・オブ・ライフケアとは、健康状態や年齢に関わらず、死について考える人が、最後まで最善の生を生きられるように支援すること。(クリックすると拡大します)