地域医療ニュース

第2回高齢社会を考えるシンポジウム「千葉大学と超高齢社会」が開催

2013. 07. 08   文/梅方久仁子

土井俊祐 氏
土井俊祐 氏

 続いて、客員研究員・土井俊祐氏から「千葉県の高齢化状況と医療需要の将来予想 ~入院を例に~」についての研究発表が行われた。

 高齢社会で医療・介護需要が増大すると、入院病床の慢性的な不足が考えられる。

 高齢化といっても千葉県には大きな地域差がある。県北西の人口集中部では、高齢化率は低いが高齢者人口は非常に多い。東京から離れた県東南部では、高齢化率は高いが高齢者の人口自体は多くない。今後、北西部は高齢者の人口が増え続けるので、需要増にどう対応するかが課題。東南部は大きな需要の変化はないので、今の医療体制をどう維持するかだ。

 具体的な数字では、2013年に1日あたり3万7000~3万8000人の入院者数は、2030年には5万人を越える。県内の病床は4万8000床くらいで、一番多いときには約2400床が不足する。

 ただし、今でも人員不足などから4万8000床のうち2300床が利用できていない。疾患の種類や救急対応の問題もあるので、数字の上で病床数だけ足りていればいいわけではない。

 2030年には入院病床が特に北西部で不足する。単純計算では不足は約2400床だが、患者さんの自宅からのアクセスを考慮すると約3000床が不足することが分かった。どこで不足するかをきめ細かく予測して、より地域の事情にあった対策立案に役立てたいと語った。

2012年(左)と2030年(右)の千葉県における高齢化進行状況。県北西部は高齢化率は低いが高齢者人口は非常に多く、一方、県東南部では高齢化率は高いが高齢者の人口自体は多くない。 (クリックすると拡大します)
2030年には単純計算で約2400の病床が不足するという。(クリックすると拡大します)