地域医療ニュース

自分の住む地域の医療について考えてみよう!

がんと地域医療をテーマにした医療フォーラムが
長生郡市で開催

2011.12. 27   

 このような状況に危機感を感じた子育て中の母親有志が柏原病院の小児科を守ろうと組織を立ち上げ、署名運動を開始。柏原病院の危機的状況とともに、自分たち患者も病院の適正利用を心がける旨を訴え、親への啓蒙活動を続けたところ、この動きがメディアなどの注目を集めたこともあり、現在は小児科医の数は7名まで回復した。

兵庫県立柏原病院の事例を紹介

 伊関教授はまとめとして、このような自治体病院の危機や医師不足の深刻化といった問題に向き合うことで、地域の民主主義の質の向上が図れると語った。すべて「人任せ」では地域医療は崩壊する。しかし、自分自身の健康状態をきちんと把握し、医師の立場に立って地域医療を考えれば、医療崩壊を防ぐこともできる。つまり、相手の立場に立って行動する、これこそが民主主義の基本であるわけだから、地域医療の再生は民主主義の再生にもつながる。

 とにかく、地域住民のレベルでその地域の医療レベルが決まる。だからこそ、地域医療を守るのは住民一人ひとりの努力次第である。そう語って講演を締めくくると、会場から盛大な拍手がわき起こった。

「地域のレベルが、その地域の医療レベルを決める」
茂原市長生郡医師会 大川昌権会長
茂原市長生郡医師会、大川昌権会長が最後を締めた。

 最後に、第2部の座長を務めた茂原市長生郡医師会会長の大川昌権医師が、伊関教授の意見に賛同しつつ、「医療者だけでもダメ、行政だけでもダメ。やはり医療者、行政、そして住民が一体となって頑張る。その3者の頑張りこそが『共感』を呼ぶはずです」と呼びかけ、3時間以上にわたった2011年の医療フォーラムは幕を閉じた。