医療現場からの提言

2018年

vol.12 自己触診と定期検診を

乳がんの現状を教えてください

藤田:

日本では乳がんがこの40年で約4倍に増え、年間約9万人が発症し、1万人以上が亡くなっています。11人に1人が生涯のうち乳がんにかかり、40代後半から50代前半と、70歳を超えた年齢の二つに発症のピークがあります。予防は難しいですが、2センチ以下の早期に発見すれば、約95%が治ります。早く発見して、それぞれの乳がんの進行度(病期)・性質にあわせた適切な治療を受け、「乳がんで亡くならない」ことがとても大切です。

そのためにはどうすればよろしいですか

藤田:

乳がんは自分で発見できるがんです。乳房のしこりや乳頭からの血液まじりの分泌物に気づいて、がんが見つかることがあります。乳房の自己診断(視触診)を習慣づけることは、早期発見につながります。自覚症状があれば、専門医の受診をお勧めします。

触ってもしこりが分からない早期乳がんもあります。検診では、乳がんの初期症状である小さな石灰化や小さなしこりを検出するマンモグラフィー(乳房X線検査)や超音波(エコー)検査を行います。

乳がん検診について教えてください

藤田:

乳がん検診は原則40歳以上の方が対象で、2年に一度のマンモグラフィーが勧められています。乳がんは若い頃の発症が少なく、40代からリスクが高まるからです。40歳未満では、検診で乳がんを減らせるという科学的根拠が十分ではありません。X線被ばくの影響も考慮されています。

また、自治体によっては、被ばくの影響がない超音波検診をマンモグラフィーと併用したり、30代からできるような体制になったりしているところもあります。ご不明な点があれば、市町村区の「がん検診」担当部署に問い合わせれば、いつどこで受けることができるのか教えてもらうことができます。

最終的に乳がんと診断される方は、検診受診者千人に対し数人とそれほど多くはありません。検診結果で要精密検査となった場合でもがんと診断される方は5~6%です。焦らずに外来を受診され、精密検査を必ず受けてください。

受診率はどれくらいですか

藤田:

日本での検診受診率は約40%まで増えてきましたが、欧米諸国に比べるとまだ低いです。受診率がさらに増えると、乳がんで亡くなる方は減っていくでしょう。乳がんが発見されることが怖いのではなく、発見されないままでいるのが怖いことなのです。自己触診と定期的ながん検診を習慣にしていきましょう。

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