医療現場からの提言

2018年

vol.11 五十肩は完治可能な疾患

四十肩、五十肩について教えてください

鈴木:

五十肩あるいは四十肩と言われる状況は医療現場では肩関節周囲炎と称されています。50歳頃になり不意に肩関節を中心に痛みを発し、その程度により日常の活動も制限されます。原因として自分の最近の行動をあれこれ考えてみても思い当たる事がほとんどないのが普通です。

肩関節周囲炎は同時に両肩に発症することは稀(まれ)で、上肢の肩以外まで広範囲に痛みが広がったり、しびれなどを起こしたりすることがないのも特徴です。

痛みの原因は何ですか

鈴木:

なぜこのような痛み方になるのかは種々の推測がなされます。

肩関節を解剖学的に見ると他の多くの関節と比較して極めて特異な構造をしています。一般に四肢の関節に必要な条件は固定性・安定性・必要に応じた一定の可動性です。肩は球関節といい、円形の小皿を立て卓球の球を側方から強く押し付けたような形と言えます。他の関節に比して構造的に不自然で強い力もかかり、外側からの三角筋をはじめ上方からの棘(きょく)上筋、棘下筋、下方からの大胸筋など、さらに鳥口上腕靭帯(うこうじょうわんじんたい)はじめ関節包という強固な組織にて保護されています。

前述のように強靭(きょうじん)な袋状のもので覆われておりますが、表面から内圧を触知できるので内圧の差から他の疾病の発見や、特に周辺には心臓、肺、リンパ節など重要臓器も近接しており診断上の手掛かりとなり得るとも考えられます。

肩関節周囲炎診断の目安は、腕の可動域が前に140度以下、横に160度以下、結髪・結帯不可、夜間寝返り痛ありなどです。レントゲン検査では骨破壊や変形などがなく、肩峰・骨頭間隔6㍉以下、石灰沈着なしといわれます。

どんな治療方法があるのですか

鈴木:

治療としては注射・内服薬・外用剤など種々ありますが、筆者は1977年から41年間にわたり整形外科外来診療において副作用が全くなく安全・簡便・効果的な経絡針を採用しています。この疾患はあまり神経質に考えすぎない方が良いと思いますが、治療開始が遅れないようにした方が治癒が早いと考えられます。一部完治までに時間を要するケースもあり、治療に根気を要する場合もあります。

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