医療者から見た地域医療のいま

現場の人間が集まって
必要な情報を受け渡せる「連携パス」を

2012. 11. 02   文/梅方久仁子

東京湾岸リハビリテーション病院 院長 近藤国嗣 氏

在宅との連携も進めたい

現在はどういう活動をしておられるのでしょうか。

近藤 今は地域のかかりつけ医への連携パスの広がりを目標としています。

 脳卒中は再発率が高いので、自宅に帰った患者さん達が、再発予防をできるように、かかりつけ医と組む必要があると思います。また、かかりつけ医が経過観察をつけるようなシートも作っています。それがあれば、再発して急性期にかつぎこまれたときに、これまでの経過をすぐ確認できます。

 これは地域の医師会の方と協力して、一緒に勉強して広げていきたいですね。

 医療と介護の連携も重要だと思います。2010年7月に県の高齢者福祉課から医療と介護の連携シートが発表されました。これはケアマネジャーに定期的につけてもらうシートで、地域に戻った患者さんが、どういう介護でどういう生活をしているかを記録するものです。これがあれば、患者さんが急変して救急病院に担ぎ込まれたときにも情報が適切に伝わって、看護師には非常に役立ちます。ケアマネジャーにとっても、以前からの変化がわかって役立つと思います。現在、脳卒中連携パスにはこの連携シートをケアマネシート(介護シート)として導入しました。

 連携パスの本来の目的は、医療機関が変わっても連続して同じ医療を受けられるようにすることです。今後は、病院から病院だけでなく、病院から地域、地域から病院への連携を進め、どこへ行ってもシームレスな医療を受けられる体制を目指したいですね。