医療者から見た地域医療のいま

「コンビニ受診」も「救急車の適正利用」も、
患者の目線からとらえ直すことが重要だ

2012. 01. 06   文/大森勇輝

宍倉病院 副院長 宍倉朋胤 氏

もちろん先生も翌日の朝から診療があるわけですよね。

宍倉 その通りです。昨日も2次の担当日でしたが、今日はそのまま普通に診療しております。

きついお仕事のような感じがしますが。

宍倉 うーん、今はまだできますね、45歳なので。けれども、5年後、10年後、15年後となるとちょっとわかりません。ただ、自分の住んでいる地域で救急医療を行うということは、子育てと同じだと思うんです。ラクかと言われればラクではないし、よそから頼まれて同じことをできるかというと、たぶん「勘弁してください」ということになるでしょう。ですが、自分の住んでいる地域の問題となると、できるできないではなくやるしかないと。

医療関係者はこの状態をどうとらえているのでしょうか?

宍倉 難しいという感じですね。まったくの無関心というわけではないんですが、どれだけがんばっても、夜間も小児科や産科も含めて全部診療する救急体制を築くのは難しいと。逆にそういうムリなことを実現しようとすると、自分たちも大変になる。夜間はよそで診てもらおうと。夜間診療までやると、日中の診療にまで悪影響が出てしまうということがありますので。

夜間救急診療所には小児科もありますが。

宍倉 ですが、小児科の専門医は3名しかいません。また、日中の仕事が終わって、さらに夜の8時から11時まで診療となると相当大変です。しかも、11時に終わらないことも多いです。