地域医療ニュース

多職種協働による在宅チーム医療を担う
人材育成事業・地域リーダー研修会を開催

2013. 05.24   文/梅方久仁子

在宅では、医療とケアは車の両輪

 昼の休憩後には、質の高い在宅医療は実際にどのように行われているかを、DVD映像と講演で学んだ。

 まず、松戸市のあおぞら診療所で在宅医療に取り組む川越医師の診療の様子を紹介するDVD映像を15分間視聴した。川越医師は、これから在宅医療を始めたいと願う医師を受け入れて、在宅診療の同行研修を行っている。寝たきりの高齢者、身体障害者、難病患者、終末期のがん患者など、様々な患者宅を訪問して診療する様子が映し出された。川越医師によれば「在宅医療では、医療だけではなく、生活の質の改善や苦痛の緩和を提供する必要がある。在宅では、医療とケアは車の両輪」とのことだった。

「在宅医療の風」という15分のDVD映像を視聴。(クリックすると拡大します)
さくさべ坂通り診療所 大岩孝司 氏

 次に、さくさべ坂通り診療所の大岩孝司医師により、「がん終末期在宅緩和ケアの現状と課題 ~患者から学ぶ~」と題する講演が行われた。

 さくさべ坂通り診療所では、10年前からがんの在宅緩和ケアを専門に行っている。在宅医療と病院医療には違いがあるが、がんの在宅緩和ケアは、非がんの在宅ケアとも違う。がんの苦痛は、がんそのものではなく、不安や周囲の無理解、死を目前に突きつけられるショックで起こる。自身の状況を把握し、自分の希望を尊重してもらえると、患者は落ち着いている。

 家族の役割は大切だが、家族介護は必須ではない。介護サービスを利用して、独居の人の看取りや、90歳近い高齢の家族による介護も十分可能だとのことだった。講演は、もう歩けないと思い込んでいた患者が大好きなゴルフのコースに出るまでになったこと、話を聞いてもらえなかった患者が耳が聞こえないふりをしていたことなど、多くの患者の具体例を紹介しながら進められた。

大岩氏は、自身が診た患者さんたちの具体例を挙げながら在宅医療を解説した。(クリックすると拡大します)