地域医療ニュース

千葉市の医療について考える連続シンポジウム第1回
「千葉市の医療の“いま”を考えよう ?救急の現場から見えてくるもの?」が開催

2013. 04.03   文/梅方久仁子

千葉市消防局警防部救急課係長 梅澤哲雄氏

 梅澤氏からは、救急隊の状況について説明があった。千葉市の救急隊員は300名で、そのうち救急救命士は135名。救急車25台とヘリコプター1台で救急出動している。全国でも珍しい常駐医師制度を実施し、消防本部に24時間医師が常駐して救急隊に指示を出している。出動件数は平成24(2012)年に5万件を突破した。人口は減っているが、少子高齢化によって今後も出動件数は増えると推測される。市民の期待に応えたいが、出動要請から医療機関につなぐまでの時間が延びている状況だ。消防局としては、その対策として、救急隊の充実のほか、応急手当の啓発活動などに取り組んでいる。

千葉市の緊急出動の現状と将来予想。今後人口は減る傾向だが、救急搬送は増えていくという。(クリックすると拡大します)
千葉市立青葉病院救急科医師 篠崎広一郎氏

 篠崎氏からは、入院が必要な救急患者を受け入れる2次救急医療機関の状況について説明があった。救急搬送数は20年で2倍になり、医療機関の受け皿が不足している状態。千葉市の2次医療機関は輪番制だが、各病院が受け入れられる患者の重症度と専門性にばらつきがあるため、救急医療体制に“はざま”ができている。その“はざま”に陥るとどの病院にも診てもらえない事態も起こり得る。これは、医療機関が互いに補完しあうというよりも、各病院がそれぞれの理念に従って自分たちの医療を行っているのが原因だ。

病院は患者の重症度別に階層化され、またそこに勤める医師たちも診療分野がバラバラ。この2つの条件によって隙間ができ、診られる医者がいなくなるという構造上の問題を指摘。(クリックすると拡大します)