地域医療ニュース

千葉市の医療について考える連続シンポジウム第1回
「千葉市の医療の“いま”を考えよう ?救急の現場から見えてくるもの?」が開催

2013. 04.03   文/梅方久仁子

在院日数を減らしても医療費が増える

九州大学大学院医学研究院教授 尾形裕也氏

 次に九州大学大学院医学研究院教授・尾形裕也氏より、「医療制度改革と地域医療」と題して基調講演がなされた。その概要を紹介しよう。

1.日本の医療提供体制の現状
 日本の医療提供体制には3つの特徴がある。
 1つ目は資本集約的であることだ。医療は一般的には労働集約的サービスだが、日本の医療では資本が豊富でも人員配置が手薄だ。他の先進国と比較すると、人口あたり病床数、CT台数、MRI台数などは圧倒的に多いものの、病床あたりの医師数や看護職員数は圧倒的に少ない。ちなみに、在院日数がかなり長いのも日本の特徴だ。

他の先進国の数字と比べると、日本は病床数に対して医師数や看護職員数が少ない。(クリックすると拡大します)

 2つ目は、病院と診療所の機能分担や連携が少ないことだ。診療所が大きくなって病院になった例が一般的で、診療所と病院の違いは規模の違いのみということが多い。
 3つ目は、民間主導ということだ。経営母体は医療法人が66.4%、個人が4.3%で、だいたい7割が民間。今後の課題は、こういった民間主導の医療提供体制に行政が方向性を与えようとしても、有効な政策でコントロールすることが難しいことだ。