地域医療ニュース

千葉市で「第10回市民のための糖尿病教室」が開催

2012. 12. 25   文/梅方久仁子

最初の骨折を予防することが大切

 二つめの講演は「糖尿病と骨粗しょう症」。講師は、東邦大学医療センター佐倉病院の糖尿病・内分泌・代謝センター教授、龍野一郎氏だ
 骨粗しょう症は、骨が粗くなってスカスカになっている状態。スカスカなので、縦方向に力がかかると容易に圧迫骨折を起こしてしまう。代表的な症状には、身長が縮む、背中や腰が痛む、背中が曲がってくる、脆弱骨折(ごく簡単なことで起こる骨折)などがある。
 骨量は、生後しばらくは急速に増え、20代でピークを迎えた後は徐々に落ちていく。脆弱性骨折があるか、または骨密度が若いときの最大値から70%未満になると骨粗しょう症と診断する。
 特に他の原因がない原発性では、女性で50歳くらいの閉経後に女性ホルモンが減って起こるものが多い。女性ホルモンは、古い骨を壊す破骨細胞の機能を抑えて、新しい骨を作る骨芽細胞を活発にする。腎臓でビタミンDの生産を強めたり、腸でカルシウムを吸収しやすくする機能もあるのだ。
 加齢が原因の老人性骨粗しょう症は、男性でも起こる。また続発性として、甲状腺機能亢進症、ステロイドホルモンの服薬、身体を動かさないこと(不動性)など他の病気が原因になるものもある。
 骨量は同じ程度でも、一度骨折が起こると、2番目、3番目の骨折が起こりやすくなる。なるべく早いうちから予防して、最初の骨折を起こさないことが大切だ。骨粗しょう症で骨折すると寝たきりになりやすい。また、背骨の骨折で背中が曲がると胸郭が圧迫され、肺や心臓の機能が抑制される。骨折があると死亡率が高くなるので、大きな問題だ。

東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター 龍野一郎教授
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骨粗しょう症における背骨の骨折数と死亡率の関係
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