地域医療ニュース

千葉大学高齢者関連3部門開設を記念して
「高齢社会を考えるシンポジウム」が開催

2012. 08. 08   文/梅方久仁子

 2012年7月2日、千葉大学医学部附属病院にて、医療関係者を対象に「高齢社会を考えるシンポジウム」が開催された。2012年4月に高齢社会と高齢者医療に関連する「千葉県寄附研究部門高齢社会医療政策研究部」「千葉市認知症疾患医療センター」「千葉大学大学院医学研究院先進加齢医学寄附講座」を設立。このシンポジウムは、これら3部門の開設を記念したものだ。

挨拶に立つ千葉大学学長 齋藤 康氏
挨拶に立つ千葉大学学長
齋藤 康氏
国立長寿医療研究センター総長 大島 伸一氏
国立長寿医療研究センター総長
大島 伸一氏

 シンポジウムは、まず千葉大学学長・齋藤康氏、来賓の千葉県健康福祉部保健医療担当部長・井上肇氏、千葉市保健福祉局高齢障害部長・白井和夫氏、MSD株式会社代表取締役社長・トニー・アルバレズ氏、東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授・大内尉義氏より、それぞれ挨拶があった。

治す医療から、治し、支える医療へ

 講演の最初は、国立長寿医療研究センター総長・大島伸一氏による「医療は変わる」と題した特別講演。「医療とは何か」を、その語源や近代科学の考えから説き起こして考えたあと、「高齢社会とは何か」「高齢者の特徴」「これからの医療」「日本の医療の問題点」へと論を進める。講演の主な内容は次のとおり。

 医療とは何かを考えると、人生と生活の支援を目的に、病苦の除去・軽減をすることだ。

 近代科学は、普遍主義、論理主義、客観主義を原理として進歩してきた。医療技術もそれにならってきたが専門細分化が進みすぎた。検査データだけではなく、生活を含めた患者全体を見なくては、医療で正しい判断はできない。

 高齢者に対する医療では、完全治癒ではなく障害との共存、社会復帰ではなく生活復帰、救命・延命ではなく「納得ゆく死」が目標になる。高齢者医療は単に治す医療ではなく、治し、支える医療だ。