2013.06.27

骨粗しょう症とは
骨の一生
骨は一度作られたら一生そのままではありません。私たちの体は古くなった骨を壊し、その部分を新しい骨で置き換える「新陳代謝」を常に行っています。これは成長期の子どもでも、大人でもお年寄りでも全ての年齢で行われています。
骨の新陳代謝には、骨を壊す「破骨細胞」と、骨を作る「骨芽細胞」の両者が関わっており、バランス良く壊してはまた作り、結果として丈夫な骨を維持する仕組みになっています。
年齢による骨量の変化

(1)0~20歳頃 | 骨貯金期 骨量が著しく増加する「骨の成長期」。この期間の十分な栄養と運動により、どれくらい骨貯金ができるかが、今後の骨人生を決定します。 |
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(2)20歳頃~40歳代 | 骨量維持期 大きく骨量は増減しないが、骨に関する注意は必要。運動不足や栄養不足で骨量を減らさないようにも注意。女性は妊娠・出産によりカルシウムが不足しがちなので、意識して補いましょう。 |
(3)40歳代~ | 骨量減少期 加齢に伴う食事中のカルシウムの吸収低下や運動不足も重なり、骨量は徐々に減少します。特に女性は閉経に伴う女性ホルモンの減少が拍車をかけ、急速に骨量は減少します。 食事や運動に気をつけることももちろん大切ですが、きちんと検診を受け、薬を含めた適切な治療を受けることも大事なことです。 |
骨粗しょう症の症状
・ 背中が丸くなる ・ 身長が縮んできた ・ 姿勢が悪くなり服が合わない ・ 腰が悪いがレントゲン検査では椎間板や脊柱間に異常はない ・ 立ち上がるときや重いものを持ったときに背中や腰が痛む ・ 洗濯物を干したり掃除をするのがつらい |
骨粗しょう症が進行すると、転ぶ、何かにぶつかるなどの些細な衝撃で骨折しやすくなるほか、腰や背中が曲がり、痛みがひどく、そのまま寝たきりになることもあります。
骨粗しょう症で起こりやすい骨折
橈骨遠位端骨折 (とうこつえんいたんこっせつ) |
手首の骨折。転倒時に手の平をつくと起こりやすい。 |
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上腕骨外科頸骨折 (じょうわんこつげかけいこっせつ) |
腕の付け根の部分の骨折。転倒時に肘などをつくと起こりやすい。 |
大腿骨 頸部骨折・転子部骨折 (だいたいこつ けいぶこっせつ・てんしぶこっせつ) |
股関節に近い、太腿の付け根の部分の骨折。転倒時に膝やしりもちをつくと起こりやすい。寝たきりの原因になりやすい。 |
脊椎椎体圧迫骨折・変形 (せきついついたいあっぱくこっせつ・へんけい) |
背骨や腰骨の脊椎椎体が潰れる(圧迫骨折)。重い物を持ったときや腰を曲げたとき、中腰の姿勢時などに起こりやすい。 |
骨粗しょう症の原因
骨粗しょう症の原因には、遺伝や加齢に関連するものと生活習慣に関連するもの、ほかの病気に関連するものがあります。
遺伝や加齢に関連するもの |
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・ 遺伝的な問題で骨粗しょう症にかかりやすい ・ 加齢や閉経による骨量の低下 |
生活習慣に関連するもの |
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・ カルシウムやマグネシウム、ビタミンDなどの栄養不足 ・ 運動不足 ・ 日光照射不足 ・ 喫煙 |
ほかの病気に関連するもの |
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・ 卵巣切除 ・ 消化器系疾患 ・ 糖尿病 ・ 状腺機能亢進症 ・ ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)の長期服用 ・ 関節リウマチ |
骨粗しょう症の予防
骨粗しょう症の原因のうち、生活習慣に関連するものは、日頃の生活習慣の改善によって予防することが可能です。
1日3回、規則正しいバランスの取れた食事を摂る |
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食事を抜くと骨の形成に必要なカルシウムなどの栄養素が不足する可能性が高くなります。主食(ごはん、パン、麺類)、主菜(肉、魚、卵、大豆)、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻類)をバランスよく摂るようにしましょう。 特に、主菜には豆腐や納豆などの大豆食品や小魚、副菜で小松菜やチンゲン菜などの緑黄色野菜、ひじき、わかめなどの海藻類などカルシウムを多く含む食事を摂るように心掛けましょう。 |
牛乳・乳製品を適量に摂る |
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牛乳なら1日コップ1杯(200ml程度)飲むといいでしょう。 |
適度な運動を行う |
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ウォーキングやジョギングなど骨に刺激を与えられる運動が効果的です。可能な方はウエイトトレーニングマシンを使った筋力トレーニングなども効果があります。また、ビタミンDを体内で合成するために日光浴もおすすめです。 |
禁煙する |
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たばこは胃腸のはたらきを阻害し、カルシウムの吸収を妨げるほか、さまざまな危険因子を含んでいます。 |
骨粗しょう症検診を受けましょう
骨粗しょう症は骨量の低下に伴い起こります。その骨量を測ることができるのが「骨粗しょう症検診」です。公的なものは各市町村が主体となって行っています。詳しくはお近くの保健センターや保健所にてお問い合わせください。
また、専門の医療機関でも検査を受けることができます。女性は閉経後は1年に1回、男性は70歳を越えたら2年に一度ぐらいの割合で受けると良いでしょう。診療科は整形外科、外科、内科、婦人科などがありますが、症状や状況をかかりつけ医と相談のうえ、どの診療科を受診するか決めましょう。

