健康トピックス

2025.10.27

「血栓症・塞栓症」を知ろう

血栓症・塞栓症とは

血栓症と塞栓症とは血のかたまり(血栓)がつまる場所の違いです。血栓症とは、血管内に血のかたまり(血栓)ができ、その場所の臓器の血管が突然つまってしまう病気です。また塞栓症とは、ある血管にできた血栓がはがれて別の場所の臓器の血管にとんでつまらせてしまう病気です。血栓ができた場所や、離れた場所でつまったりして臓器の血流がなくなりさまざまな病気を引き起こします。両者は血栓で血管がつまるという病気の発症のしくみが同じことからまとめて血栓塞栓症ということもあります。そのほとんどが、何の前触れもなく突然に発症することが特徴です。

血栓症の種類と原因

血栓のでき方には違いがあります。血管には動脈と静脈があって、血流が速い動脈に血栓ができることを動脈血栓症、血流が遅い静脈に血栓ができることを静脈血栓症と言います。それぞれ引き起こされる病気や原因はさまざまです。

動脈血栓症

動脈血栓症は、喫煙、糖尿病、高脂血症そして高血圧など動脈硬化が原因でおこります。動脈硬化が原因で血管の壁に血栓ができてその場所の血管をつまらせます。心臓の筋肉に栄養をおくる冠状動脈が血栓によってつまると急性冠症候群(不安定狭心症や急性心筋梗塞)になり、脳の動脈がつまると動脈硬化性脳梗塞となります。アテローム硬化性脳梗塞ともいい、動脈硬化が原因で血栓ができその場所の血管がつまって発症します。最近頻度が増えている心原性脳梗塞(静脈血栓症の項参照)とは機序がことなります。

静脈血栓症

静脈血栓症は、長時間手足を動かさずにじっとしていることなどが原因で、血管の中で血液の流れがうっ滞して筋肉の中にある深部静脈に血栓ができてしまう病気です。
代表的な病気に、エコノミー症候群があります。エコノミー症候群は、下肢の深部静脈にできた血栓(深部静脈血栓症)が肺の動脈へとんでしまってつまってしまう肺血栓塞栓症が同時にみられる病気のことです。長時間の飛行機の搭乗などで、足を動かさずにいることで、深部静脈に血栓ができ、それがはがれて血流にのって肺動脈をつまらせてしまうことで肺血栓塞栓症となります。症状は息切れ、足の腫れ、そして突然の意識消失です。これは命に関わることもあるので、十分に注意しましょう。予防が重要です。
その他、最近増加している心房細動という不整脈による心原性脳梗塞(脳塞栓症)という病気があります。この不整脈により心臓の左心房という部屋の血液がうっ滞(ドロドロ)して血栓ができやすくなります。心臓の部屋でできた血栓がとんで脳の動脈をつまらせて脳梗塞(脳塞栓症)を起こします。脳の太い動脈をつまらせてしまうので症状が重いことが多く、注意が必要です。左心房は動脈系なのですが血栓ができるしくみは静脈血栓と同様なので区別されます。

治療

血栓症・塞栓症は、血液を固まりにくくする(サラサラにする)薬を使用し治療を行います。動脈血栓症と静脈血栓症では生成される血栓のしくみが異なることから使う薬が違います。動脈血栓症では抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなどなど)、静脈血栓症では抗凝固薬(ワルファリン、DOACなど)を使用します。

予防法

動脈血栓症の予防

バランスよい食生活や適度な運動※1を行って生活習慣の改善をおこなうこと(糖尿病、高脂血症、高血圧などの動脈硬化性疾患の予防)が大切です。またストレスを減らす、禁煙することも効果があります。
※1 適度な運動とは有酸素運動のことです。30分以上の散歩などの軽い散歩などの運動を習慣にしましょう。

静脈血栓症の予防

長時間同じ姿勢でじっとしていないように心がけましょう。長時間飛行機に搭乗時に身体を動かせない状況の場合は、適度な水分※2をとって脱水予防したり足首や足指の運動(例:つま先上げなど)、ふくらはぎの軽いマッサージを足首や足の指だけでも行い、血液の流れを良くしましょう。
※2 アルコール飲料やカフェインの入ったコーヒー等の飲料は利尿作用があるため効果的な水分補給になりません。

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