医療現場からの提言

2019年

vol.07 屋内の完全禁煙が必要

今回の改正でどう変わったのでしょうか

田那村:

改正健康増進法は、受動喫煙を防ぐ措置をとることが努力義務だった従来の健康増進法に対して、罰則付きで受動喫煙防止措置を義務化したものです。既に、学校や病院、行政機関などの第1種施設は、7月から義務化が始まりました。来年4月には、職場や飲食店なども含め全ての「多数の者が利用する施設」が義務化の対象となります。

受動喫煙は有害と聞きますが、実際は

田那村:

受動喫煙が健康に害であることは、1980年代から分かっており、世界保健機関(WHO)が主導した国際条約「タバコ規制枠組条約(2005年発効)」の中で「タバコの煙にさらされること」から人々を守るための法律を各国で作ることが求められました。これを受けて諸外国では、屋内を全面禁煙とする法律が次々と施行され、その結果、心筋梗塞やぜんそく発作が大きく減少するということも分かってきました。

日本の状況は

田那村:

日本では、主に道路の美化を目的としたポイ捨て禁止条例などの形で、路上を禁煙とするルールが各市町村で2000年代に多くつくられました。しかし残念ながら、路上禁煙で病気が減るというエビデンスはありません。受動喫煙による病気を防ぐには、どうしても屋内を完全に禁煙にすることが必要なのです。

今回の改正で何を期待しますか

田那村:

今回の改正健康増進法では、職場や飲食店などでは例外として、一定の条件を満たせば喫煙室の設置や、店内での喫煙が認められてしまいました。これは、屋内も路上も禁煙ではタバコを吸える場所がない、という喫煙者の意見や、禁煙にしたらお客が減ってしまうのでは、という飲食店経営者の懸念に配慮したものです。でも、この法律の本来の目的は健康を、そして命を守ることです。例外の対象施設であっても、ぜひこの機会に屋内禁煙にして頂きたいと思っています。

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