医療現場からの提言

2017年

vol.09 賢い配分で楽しいお酒

お酒が好きで、ついつい飲み過ぎてしまいます。最近になって体を壊さないか心配するようになりました。

野村:

毎日飲む場合の安全な飲酒量はどれくらいでしょうか?日本人成人男性の場合、純エタノール換算で20 グラム程度(日本酒約1合またはビール約500ミリリットル、ワイングラス小2杯)とされています。

絶対に断酒・禁酒が必要なアルコール性肝硬変の方を私は何人も診てきましたが、まだ40代というのにそれまでの総飲酒量の合計がエタノール換算で1トンを超えている方も多いのです。

やはり飲酒量が多いようなので、抑えていこうと思います。

野村:

先ほど適度な量とした20グラムを成人後に毎日続けた場合、人生90年としても総飲酒量は0.5トン程度です。私は患者さんに「一生の間に飲めるアルコールの量は決まっていて、それを賢く配分できるかどうかで、人生の最後まで楽しく飲めるかが決まります」とお話ししています。

では習慣的に飲むのではなく、月に1回程度、会合などの機会に飲む場合はどうでしょうか?この場合は20グラムというわけにはいかないでしょうが、いわゆる二日酔いは避けたいものです。何とか出勤できても仕事の能率が悪く、社会的損失も大きいはずです。

二日酔いの予防法を教えてください。

野村:

二日酔いを避けるためには、まず空腹時の飲酒を避け、ゆっくり飲むことです。ヒトの肝臓のアルコール処理能力は毎時5~7 グラム程度、つまりビール500ミリリットルのアルコールの処理に3時間以上かかります。飲む前に何か食べて、栄養分や水分をとりながら、ゆっくり飲みましょう。そして濃いお酒は水割りなどにして飲むようにしましょう。また、アルコール飲料には製造過程で生成されるメタノールなど有害な成分がわずかに含まれる可能性があり、特に色の濃い蒸留酒による二日酔いの原因になります。

少量の飲酒は人生に味わいと幅を与えてくれます。人生の最後まで楽しく飲めるようにしたいものです。

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