地域医療ニュース

市原市で「地域医療フォーラム~いちはらの大切な救急医療を守るために~」が開催

2013. 01. 08   文/梅方久仁子

 市原市の救急の搬送困難事案のうち、軽症が49.7%、中等症が40.8%になる。搬送困難事案は、実は重症で断るのではなく、医師が手一杯なので軽症の方は他でお願いしたいというケースが多い。病院の前に救急車が4台も5台も並んでいる状態では、それ以上受け入れたくても受け入れられない。

 救急医療の当番を引き受けるには、医師、看護師、放射線技師などを確保するので、かなりの人件費がかかる。市からの補助はあるが、それでも赤字になってしまう。輪番をやめたいという病院がいくつかあり、1つでも抜けると当番に空白ができてしまうので、地域の医療のためにとお願いして頑張ってもらっている。市原市の夜間の救急医療は崩壊寸前だということを理解してほしい。市民は、軽症の場合は平日昼間の診察時間内に行くなど、2次救急医療施設の負担を減らすことに協力してほしい。行政には現状を理解して対策をお願いしたい。

市原市の救急医療の現状を訴えた
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飛べないペンギンを責めても飛べない

地域医療を育てる会理事長 藤本晴枝 氏
地域医療を育てる会理事長 藤本晴枝 氏

 次に「橋を架けよう ~NPO法人地域医療を育てる会の取り組み~」と題して、NPO法人地域医療を育てる会理事長の藤本晴枝氏による次のような講演があった。

自分が住む山武地域の東金市では、すでに医療に空白ができて大変なことになっている。飛べないペンギンに「飛べ」と責めても、飛べるようにはならない。同様に、医師は寝ないで働くことはできない。大学には医師がいないので、医師を送ってもらえない。できないことを責めても、できるようにはならない。