地域医療ニュース

山武郡市にて認知症についての
地域医療フォーラムを開催

2012. 08. 08   文/梅方久仁子

みんなで楽しむ趣味を持つと
認知症になりにくい

国立長寿医療研究センター病院長 鳥羽 研二氏
国立長寿医療研究センター病院長
鳥羽 研二氏

 最初の講演は、高齢者医療の分野ではトップレベルの専門家である鳥羽研二氏によるもの。認知症とはどのような病気で、現時点の予防・診断・治療はどうなのかを最新情報をもとに分かりやすく紹介した。

 鳥羽氏によると、現在、全国で65歳以上の14.4%、400万人以上がすでに認知症で、予備群の軽度認知障害(MCAI)と合わせると800万人になるという。認知症では早期発見と予防が大切だが、なった場合にどうやって社会がそれに向き合っていくかが、より大切という。

 認知症の周辺症状としては、妄想、暴言、意欲の低下、転倒、失禁などがあるという。ただ、本人にしてみれば、自尊心が傷ついたりする症状も多い。周りから観察されるこのような症状が、本人から見たらどのように映るかを考えながら接しなければならないと力説した。

 鳥羽氏は脳の画像を示しながら、脳のどこに不具合が起こるかで認知症の症状もさまざまに変わると話す。生活習慣病と認知症との関連については、高血圧では2~4倍、糖尿病は2倍くらい認知症の発症率を高くすると言われている。うつも認知症を悪化させるし、頭部外傷も認知症の発生率を上げる。認知症予防のためには、これら生活習慣病をしっかり治療し、うつ対策や転倒予防などもしていくべきとした。

 認知症の原因の1つにビンスワンガー病がある。知らない間に小さな脳梗塞がいっぱい起こる“隠れ脳梗塞”で、40歳頃から症状が出てくる。日本人には多い病気で、脳ドックなどで検査をするとわかるという。

 ちなみに、さだまさしの曲で山口百恵が歌ったことで有名な『秋桜(コスモス)』の歌詞にはビンスワンガー病の主な症状が入っているとする。

 「涙もろくなった」=感情失禁、「ひとつ咳をする」=誤嚥(ごえん)、「同じ話繰り返す」=家族が気づく認知症の初期症状、「幼い日の思い出」=昔のことをよく覚えている、「独り言みたいに小さな声で」=脳血管障害後のうつ症状といった具合。これらが当てはまるとなれば、脳ドックに行って調べるといいだろう。

印象に残る『秋桜(コスモス)』の歌詞で解説