地域医療ニュース

「これからの医療について」をテーマに
茂原市で健康フォーラムを開催

2012. 08. 03   文/梅方久仁子

医療・健康について
「我々はどこへ行くのか」を考えよう

 3番目は、茂原市長生郡医師会副会長の鈴木秋彦氏による「地域社会と医療」についての講演だ。

 現在65歳前後の団塊の世代がこれから年を取っていくと、日本全国で、急激な高齢化が進む。千葉県は全国平均より若い人がやや多いが、長生郡市を含めて郡部では高齢化が進んでいる。高齢者が増えると、認知症やがん患者が増え、亡くなる人も増える。

長生郡での高齢化は進んでおり、長南町ではほぼ3人に1人が65歳以上だ。

 医師数、看護師数、病床数といった医療を担う人材や施設を医療資源というが、千葉県の医療資源は他県と比べても少なく、全国ランキングではどれも40番台で下から数えた方が早い。その千葉県の中でも、とりわけこの地域は医療資源が少ないと語る。

 今の国の方針では、今後も病院はあまり増える見込みがない。もし介護施設も病院もそれほど増えなければ、将来はどうなるか。人口の高齢化で死亡する患者さんが増えたときには、在宅で最期を迎えるしかない。

 在宅療養がうまくいくためには、医療系と福祉系のサービス、それに地域のバックアップが必要だ。しかも別々ではなく、連携していかなくてはならない。

 終末期のあり方を考える必要もある。終末期には、だいたい物が食べられなくなる。食べられなくなったときに、鼻から管を入れたり(経鼻栄養)、胃に穴をあけたりして(胃ろう)栄養を送り込まれても、本人は幸せだろうか。食べられなくなる頃には本人は意思表示ができなくなっているから、そのときどうするかを普段から考えておく必要がある。

 「我々はどこへ行こうとしているのか」がいま問われてきており、これからみんなで考えて決めていかなくてはならないと講演した。