地域医療ニュース

医療連携の強化を図るツール
「地域医療連携パス」に関するシンポジウムを開催

2012. 07. 27   文/大森勇輝

急性期病院と回復期病院の連携は進んでいる

古口徳雄氏
古口徳雄氏

 まず、最初の発表者として登壇したのが、脳卒中ワーキンググループの座長を務める千葉県救急医療センターの古口徳雄氏である。古口氏は、今回のシンポジウムに先立ち、2月19日に行われた「第3回千葉県脳卒中連携の会」を踏まえて、連携パスの現況について説明した。

 まず、脳卒中の連携パスの利用状況についてアンケートを行った結果、連携パスの導入・使用により、急性期病院と回復期病院の連携が進んでいることが判明したという。また、病院と診療所の連携については、診療報酬を算定するシステム作りと連携パスの改訂により、その基盤はできあがったとした。

 さらに、連携パスを改良することで、かかりつけ医、介護・福祉機関との連絡・情報共有体制の強化を図るとともに、病院薬剤師とかかりつけ薬剤師の連携を図るため、「薬剤シート」という患者の薬情報を共有するためのシートを新設したことも発表した。

新設された「薬剤シート」

 今後は、このような連携体制をより強固なものとするため、連携パスのさらなる普及を推進すること、また、医療と介護など多職種の連携を進めるとともに、情報の共有による医療の効率化、質の向上を目指し、さらには、生活習慣病、慢性疾患など脳卒中の原因となるような病因の予防にあたることを目標として提言した。