地域医療ニュース

千葉から脳卒中治療の形を変える!
「第3回千葉県脳卒中連携の会」開催

2012. 06. 05   文/大森勇輝

「顔が見える連携」を進める

 最後を飾る第3部は、それぞれの医療機関や福祉・介護施設における、脳卒中患者の事例報告、そして別の会場で行われていた分科会の報告の2本立てである。

 事例報告は、急性期病院(発症後間もない、あるいは重篤な患者に専門的な治療を施す医療機関)や回復期病院(リハビリテーションを行う医療機関)の医師、クリニックの医師(かかりつけ医)、看護師、ケアマネジャー、訪問看護ステーション所長など、さまざまな立場で地域医療に携わる人びとがスピーカーとして登場した。

 医師の意見として、脳卒中患者が仕事に復帰する際、きちんとリハビリを受けていないと、職場でトラブルを引き起こすことがあるということ。また、再発防止のために、喫煙は「百害あって一利なし」であり、大量飲酒も再発への危険因子となることなどが指摘された。

 一方、在宅の方面からは、いわゆる「地域生活期」の患者に対する具体的なリハビリ方法やモチベーション維持のための方策や、患者の家族・介護者に対する生活面・精神面でのサポートも必要といった意見が出された。そうしたサポートのためにも、多職種による患者支援が必要となること。また、そのような多面的な治療、患者支援を行うためにも、連携パスを活用して、さまざまな専門家が参加できるようにする必要性が改めて確認された。

 続く分科会報告では、薬剤師や看護職、栄養士などがそれぞれの分科会の内容を発表。連携パスに新たに「薬剤シート」が加わることになったことが発表された。一方で、すでにあるリハビリテーションの連携パス「リハシート」や、栄養士がかかわる「栄養シート」の認知度の低さなどが意見として出された。また、主会場でなされた議論同様、例えば病院の薬剤師と薬局の薬剤師、あるいはセラピストとケアマネジャー、そして医療機関同士など横の連携の向上が課題として話し合われたことも報告された。

 そして、フィナーレの提言。脳卒中は誰もがかかり得る病気であり、しかも、病後の再発の危険性も少なからずあるからこそ、かかりつけ医、福祉・介護施設、そして医療機関が“顔が見える連携”をいっそう進めること。そして、そのためにも連携パスのますますの普及を図ることをうたいあげ、536名が参加した第3回千葉県脳卒中連携の会は、幕を閉じた。

提言の内容