浦安市医師会

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健康コラム2012年

加齢黄斑変性症 □ストレス反応 □インフルエンザ □胃食道逆流症


加齢黄斑変性症

加齢黄斑変性症は成人の失明原因となる病気の一つで、近年増加しています。
加齢とともに増加し、喫煙者に多いことが知られていますが、はっきりとした原因は不明です。網膜の中心にある黄斑部におこる病気です。黄斑部は、ものの形・大きさ・色・奥行き・距離など光の情報を識別する細胞が集中している部分です。視力・眼底・ゆがみなどを検査し、網膜断層検査で黄斑部の網膜剥離や網膜のむくみ、脈絡膜新生血管などが検出されると診断されます。さらに蛍光色素を含んだ造影剤を腕の静脈から注射して眼底写真をとり、新生血管の位置や病型を調べます。

病型には浸出型と萎縮型があります。
萎縮型は網膜の細胞が変性し、萎縮していきます。進行はゆっくりしていますが、積極的な治療法はありません。突然失明することはありません。
浸出型は黄斑部の脈絡膜から異常な血管が発生して、出血や浮腫を起こし視力が低下します。症状は、ものがゆがんでみえる、見たい部分がぼやける、見たいところが黒くなって見えるなどですが、突然大量の出血をおこして、強い視力障害を起こすこともあります。
最近、脈絡膜新生血管の働きをおさえる薬剤(抗血管内皮増殖因子)を目(硝子体)の中に注射することにより、治療が可能となりました。効果は確認されていますが、目の中に注射するのですから、きちんとした準備、経過観察により、合併症の防止に努めなければなりません。その他に、光線力学的療法、光凝固術、新生血管抜去術、黄斑移動術、経瞳孔温熱療法などの手術による治療、止血剤やビタミン剤などの内服による治療もあります。ものがゆがんで見えるなどの症状を自覚したら、早期に眼科を受診するようにしましょう。

【かつなんクリニック 院長 鹿島 佳代子】


ストレス反応

 「ストレス反応」とは日常生活の中で経験される様々なストレスから引き起こされるもので、その症状には不安やいらいら感、うつ気分、不眠などを代表とする精神的不調や動悸やめまい・微熱・下痢などの自律神経失調症状、食欲不振などの身体的不調があります。
また、反応の出現には明らかな強いストレスで引き起こされる心的外傷後ストレス障害(PTSD)のような急性反応や長く継続的なストレスによる慢性的 なものとがあります。

昨年3月の東日本大震災において浦安市も液状化など大きな被害がありました。地震後の恐怖感、不安感、不眠、地震酔いなど感じた方も多かったことで しょう。震災から1年以上たち自然と回復されている方がほとんどだと思いますが、自宅への被害や放射能漏れへの心配などストレスのあり方や感じ方は人 それぞれです。 生活の中での継続的なストレスは「当たり前だから」「仕方ない」などと考えてしまいがちでストレスとして自分で意識したり自覚したりすることが難しいこともあります。「何だか体がだるい、おっくうに感じる」「ドキドキして目が覚める、寝汗をかく」「体が揺れているように感じる」など精神的や身体的にすっきりしない感じが続いている場合は慢性的なストレス反応で治療を必要とするケースもあります。
「東北の被害に比べれば」「みんな我慢している事だから」などと片付けずに自分のストレス状況を理解することも大切ですので必要と感じたらメンタルク リニックなどで相談をして下さい。

【髙木メンタルクリニック 院長 髙木 一郎】


インフルエンザ

インフルエンザとは、A型香港・Aソ連・A新型・B型・鳥インフルエンザ等のウイルスによってひきおこされる疾患です。 2009年に発生した新型インフレンザでは、日本の死亡率が世界で最も低い水準だった事に、世界が驚いていました。早期診断と抗インフルエンザ薬による早期治療という、日本の治療方針が徹底されていた事が要因でした。日本では症状が現れてから、48時間以内に90%の人が抗インフルエンザ薬の投薬を受けていて、死亡例も人工呼吸器を装着するほどの重症例も世界で一 番少なかったのです。
 インフルエンザの症状としては、突然の発症、38℃を超える発熱、咳鼻水等の上気道炎症状、全身倦怠感等の全身症状、呼吸困難等です。
入院の原因としては、肺炎、脳症、脱水症、低酸素血症、心筋炎等があります。新型インフルンザではなかでも低酸素血症の割合が高く、従来の季節性インフルエンザでは経験した事がない事態でした。
治療法としては、出来るだけ早期に診断して、抗インフルエンザ薬の内服薬や吸入薬を行う、または点滴注射を受ける等があります。 予防法としては、手洗い・うがい・マスク着用(内側にガーゼやティッシュを折って挟む)・インフルエンザワクチン接種等があり、流行期には人混みは避 けるようにすることも有用です。

1995年までは、日本では学校でワクチンの集団接種が行われていたお陰で、老人の死亡率が抑えられていました。
しかし、その後集団接種が行われなくなり、学童の弟妹たちである1~4歳児が以前に比べて格段にインフルエンザに罹患する様になり、脳症も多発する様 になりました。ワクチンによる予防の重要性がわかる事例だと思います。
今後パッチ式のワクチンも出る予定で、さらに接種しやすくなると思います。

【新浦安こどもクリニック 院長 内藤 茂樹】


胃食道逆流症

胃食道逆流症は胃の内容物が食道へ逆流しておこる病気です。さまざまな理由によって胃内容物の食道への逆流が頻繁におこるようになると、胃液のなかの酸のために胸やけや食道炎、口の中まで酸っぱい水が上がる感じ(呑酸)がおこります。なかには狭心症とまぎらわしい胸の痛みや、咳などの呼吸症状がおこることもあります。
以前は欧米人の病気と考えられていましたが、高齢化・食事の欧米化・診断の進歩などにより、日本人でも近年この病気に悩まされる方が増えてきています。
 原因としては、①胃液の逆流を防ぐ機能の低下(食道と胃のつなぎ目の筋肉の衰えなど)②食道や胃のぜん動運動の低下③腹圧の上昇④胃液の分泌増加⑤食物摂取量の増加⑥食道粘膜の過敏などがあげられます。
診断法は一般的には内視鏡検査を行います。これにより逆流に伴う食道の発赤やびらん(ただれ)が認められれば診断できます。

治療は多くの場合、内服薬で症状を改善させることができます。また日常生活の改善も大切です。
脂肪の多い食べ物、チョコレートなどの甘いもの、柑橘類、コーヒー・紅茶、香辛料、アルコール類、タバコなどは胃酸の分泌を高めたり、胃内での食物の停滞時間が長くなることで逆流を起こしやすくします。そして食べ過ぎない、食後すぐに横にならないことも大切です。
胃食道逆流症が疑われる場合は、一度消化器の専門医にご相談下さい。

【浦安ファミリークリニック 院長 太田 千冬】

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