地域医療ニュース
第16回千葉県脳卒中連携の会
テーマ「食べたい」「食べられない」「食べたくない」を支援する
16回目である今回は、「食」についてメインテーマとして取り上げました。はじめての試みとして、1本の特別講演とシンポジウムという構成ではなく、3名の演者にご登壇をお願いして、管理栄養士、脳神経内科医、老年科医のそれぞれのお立場から、「食べたい」「食べられない」「食べたくない」についてご講演いただくスタイルを取りました。
リハビリテーション・栄養・口腔の一体的取組における影響ケア・マネジメント、数多くの事例を呈示する形での摂食嚥下障害とその経過、アプローチについて、そして、「食べたくない」原因の究明と対策についての網羅的な解説について、それぞれ学ぶことが多い講演3題でした。
午前の第一部は、7つの分科会に別れて開催しました。
リハビリテーション職分科会では、県北、県央、県南の3県域から各1名が登壇して、リハビリテーション資源に関するアンケート調査等を通じた資源の紹介や把握しえた課題が提示されました。それらを踏まえて、関係性の強化についての議論が深められました。
薬剤師分科会では、ポリファーマシーや食べられない原因となる恐れのある薬剤、そして、錠剤嚥下障害について、講演やグループワークを通じて深められました。
医師分科会は、例年通り多職種カンファレンスのスタイルで開催しました。急性期病棟入院中の事例、そして、回復期リハビリテーション病棟入院中の事例を呈示して、いずれも「食べられない」状況に対してどのように見極めるか、どのようにアプローチするかについて、議論を深めました。
栄養士分科会では、令和6年度の同時改定において新設された「栄養情報連携量」を受けて、栄養シートを改訂したわけです。実際に改訂された新たなシートを用いた急性期や回復期リハビリテーション病院と介護保険施設との連携事例に基づいて理解を深めるとともに、地域連携のさらなる推進について話し合われました。
入退院支援分科会は、在宅事業所、行政、医療機関等の多職種メンバーにより構成されている分科会です。今回は、山武市の山武がつながる劇団が作成した「人の死と意思決定支援」をテーマとする演劇の映像を視聴して、その上で意思決定支援を実践し、深めるために何が大切かについて、グループワークで深めました。
看護職分科会では、6つのグループに分かれてグループディスカッションを行うスタイルで開催されました。「食べられない」ことへの支援について、管理栄養士の参加も得て、議論が進められました。
医療ソーシャルワーカー分科会では、9つのグループに分かれて、食べること困難になった事例を用いて、急性期・回復期・生活期のリレー形式で事例検討が進められました。
当日は、前年度を上回る443名にご参加いただくことができました。内訳は、医師48名、歯科医師・歯科衛生士18名、薬剤師22名、看護職97名、リハビリテーション食84名、管理栄養士・栄養士55名、MSW99名、福祉職・ケアマネジャー11名、行政・医療団体・事務等9名でした。
総括として、今後は地域生活期へのつながりを取り上げて行くべきだという分科会発表や同職種間の関係性強化に加えて、他職種との関係性強化に取り組んで行くべきという議論もありました。引き続き、千葉県の地域医療連携推進のために活動や議論を重ねていきたいと思います。
千葉県医師会理事 川越 正平
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第16回千葉県脳卒中等連携の会 冊子(3.1MB)