地域医療ニュース

住民の命を地域全体で救う!
長生郡市の先進的な取り組み

2013.11.28   文/大森勇輝

  茂原市など7市町村からなる長生郡市の全13校の中学校で、2013年6月から「救急実技講習」がスタートした。これは、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)の取り扱いといった救急救命術について、授業の一環として講義を行うというもの。郡市全体が足並みをそろえ、講師の指導のもとに実習を実施するのは、千葉県内で初、全国的にも非常に珍しい取り組みだという。

7月3日、同郡市内白子町の白子中学校で開かれた救急実技講習を取材。その模様とともに、この講習が実施されるに至った背景やその狙いなどを紹介する。

総合学習の時間を使って生徒たちが心肺蘇生に挑戦

 講習は町立白子中学校の総合学習の授業時間である2時限、計100分を使って行われた。参加したのは同校の2年生全員。講師役を務めたのは、広域消防の職員や看護師、救命講習参加経験のある同校教諭などである。

 まず初めに、消防隊員による心肺蘇生の実演からスタート。そこでのポイントとして、救急車を呼んでから到着までにかかる8分ほどの間に、蘇生を行うことの重要性を隊員は強く訴えた。

まずは消防隊員による心肺蘇生の実演
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 続いて、生徒たちが各班に分かれ、講師の指導のもと、人工呼吸と胸骨圧迫を行う心肺蘇生法の実地訓練に移った。倒れている人を模した訓練用の人形を相手に、人工呼吸や両手を胸骨部分に当てて圧迫する心肺蘇生を実施。当初は胸ではなく足の近くに立って救命作業を行おうとしたり、あるいは人工呼吸のやり方がなかなか理解できなかったりし、戸惑いの表情を浮かべる生徒も。しかし、声かけや助けの呼び方、息の吹き込み方、押すリズム、強さなどを講師に教わっていくにつれ、しだいに慣れていき、1人5分ずつの実演をこなしていった。

実演を繰り返すことで、生徒たちはしだいに慣れていった。
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