紫外線と春の肌トラブル

2026.04.30

概要

春は気温が穏やかで過ごしやすい一方、紫外線量が急増し、肌トラブルが起こりやすい季節です。冬の間に緩みがちだった紫外線対策に、季節特有の肌状態の変化が重なることで、さまざまなトラブルが目立つようになります。

紫外線は、波長の長さによって UVA(紫外線 A 波)、UVB(紫外線 B 波)、UVC(紫外線 C 波)の 3 種類に分けられます。UVC はオゾン層でほとんど吸収され地表には届きませんが、UVA と UVB は肌に大きな影響を与えます。

一般的に紫外線というと夏が強いイメージですが、実は気候が穏やかな春に紫外線(特にUVB)量がピークを迎えます。

原因

紫外線による直接的な影響 

UVA:

年間を通じ地表に降り注いでいる紫外線で、肌の奥深く(真皮)に到達し、膠原繊維(コラーゲン)や弾性繊維(エラスチン)を傷つけ、肌のハリや弾力を失わせることでシワやたるみといった「光老化」を引き起こします。また、メラノサイトという細胞を活性化させメラニン色素の産生を促進し、徐々に肌を黒くしてしまいます。さらにUVAには既存のメラニン色素を酸化させて急激に肌を黒くしてしまう作用もあります。

UVB:

春夏に強く地表に降り注ぐ紫外線で、主に皮膚の表層(表皮)に作用し、短時間の照射でも肌が赤くなるサンバーン(日焼けによる炎症)や、その後に肌が黒くなるサンタン(色素沈着)を引き起こします。サンタンはメラニン色素がUVBによって増加してしまうことで生じ、シミ・そばかすの原因となります。さらにUVBは皮膚の炎症やシミだけでなく、表皮の細胞や DNAを傷つけるなど、生体への影響が強いのが特徴です。

春特有の環境要因とバリア機能低下 

冬の乾燥の影響が残っている肌は、もともとバリア機能が低下し、外部刺激に敏感な状態です。そこに春特有の花粉、PM2.5 などの大気汚染物質、さらに寒暖差や気圧変化が加わることで、肌の防御機能はさらに低下します。このような無防備な状態の肌が強い紫外線を浴びることで、肌トラブルが一層悪化しやすくなります。

症状

乾燥:

バリア機能が低下した皮膚は水分が逃げやすくなり、カサつき、粉吹き、ゴワつき、つっぱり感などの乾燥症状が進行します。 

かゆみ・赤み・敏感肌化:

バリア機能が低下すると外部からの刺激に過敏になり、かゆみ、赤み(紅斑)、ヒリつきといった症状が出やすくなります。 

肌荒れ:

紫外線の刺激で角質層が厚くなったりキメが乱れたりすることで、肌のざらつきやゴワつきが生じます。ターンオーバーの乱れは、吹き出物やニキビの原因にもなります。 

シミ・そばかす・くすみ:

紫外線で肌に炎症が起こると、メラニン色素が過剰に生成されシミやくすみの原因となります。バリア機能が低下した肌では代謝が滞り、メラニンを含む角質が排出されにくくなるため、色素沈着が進みやすくなります。 

日焼け(サンバーン):

UVB によって肌が赤く炎症を起こし、場合によっては痛みや水ぶくれが生じることもあります。 

光老化:

紫外線はシミや日焼けだけでなく、シワ、たるみ、弾力低下など、肌の老化を加速させる「光老化」を引き起こします。

皮膚腫瘍:

長期間の紫外線暴露は皮膚の良性・悪性腫瘍を生じさせる原因となり得ます。脂漏性角化症や日光黒子といった良性のものや悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がんといった悪性腫瘍、良性と悪性の中間である日光角化症などがあります。皮膚に気になる「できもの」がある方は一度皮膚科の専門医療機関を受診してください。

光線過敏症:

健康な人の皮膚では反応を示さないような弱い光線で異常に強い反応を示すことを光線過敏症といいます。これには薬剤などが原因の「外因性」と、何らかの疾患によって光線過敏症が引き起こされる「内因性」の2種類が存在します。それぞれへの対処も異なるため確実な診断を行う必要がありますが、これらの診断には詳細に問診をとり、適切な精査を行う必要があります。日光に当たると強い皮膚反応が繰り返し生じる方は、一度 皮膚科の専門医療機関を受診されることをお勧めします。

予防

紫外線対策 

物理的遮光:

UVカット機能のある帽子、日傘、サングラス、衣類などを活用し、肌を物理的に保護しましょう。 

日焼け止め:

バリア機能が低下している春の肌は紫外線の刺激を受けやすいため、必ず日焼け止めを塗りましょう。顔だけでなく、首や腕など露出する部分にも忘れずに塗布します。日焼け止めは日中数時間ごとに塗ることが大切です。雨や曇りの日でも紫外線は降り注いでいますので、こういった天候の日でも日焼け止めを塗ることが大切です。また、屋内にいても窓などから紫外線は入ってきますので注意が必要です。日焼け止めには効果の強さの指標としてSPFとPAという2つの指標があり、SPFはUVBを防ぐ強さ、PAはUVAを防ぐ強さの指標です。日本国内での日常生活(通勤、通学、散歩、買い物、軽い運動など)であれば、SPFは30、PAは++~+++程度で十分です。なお、SPFが高い日焼け止めは肌荒れや乾燥を引き起こす場合があります。敏感肌、乾燥肌の方は多少SPF値を抑えたものや、ノンケミカル日焼け止めと呼ばれる製品を使うとよいでしょう。

  • 日常生活(散歩・買い物・短時間の外出)
    SPF10〜20 / PA+〜++
  • 屋外での軽いスポーツ・レジャー
    SPF20〜40 / PA++〜+++
  • 炎天下での活動(海・山・スポーツ)
    SPF40〜50+ / PA+++〜++++

適度なメイク:

ノーメイクは肌を無防備にさらすことになるため、ファンデーションなどで適度にカバーし、花粉や紫外線から肌を守るのも有効です。

スキンケア対策 

保湿ケア:

バリア機能を保つため、ヘパリン類似物質やセラミド、ヒアルロン酸などを含む保湿剤で肌の水分をしっかり保つことが不可欠です。 

肌に優しいスキンケア:

刺激の少ない製品を選び、こすりすぎない、すりこまない、肌を叩かないなど、肌に負担をかけない洗顔・クレンジング・スキンケアを心がけましょう。 

機能性成分の活用:

必要に応じて、グリチルリチン酸などの抗炎症成分や、ビタミン C 誘導体、アルブチンなどの美白成分を取り入れることも有効と言われています。

生活習慣の見直し 

食事:

抗酸化作用のある食品やビタミン類(ビタミンCなど)を積極的にとり、栄養バランスのよい食事を心がけることで、肌の抵抗力を高めます。 

睡眠:

質のよい睡眠を十分に確保し、肌の修復機能を高めましょう。 

ストレス管理:

ストレスは肌トラブルの悪化要因となるため、適度な運動やリラックスできる時間を持ち、ストレスをため込まないようにしましょう。 

室内環境:

室内が過度に乾燥しないよう、加湿器などで適切な湿度調整を行うことも大切です。

これらの対策を続けることで、春の紫外線による肌トラブルを最小限に抑え、健やかな肌を保つことができます。