健康トピックス

2018.01.17

運動のやりすぎに注意しましょう

運動のやりすぎによるリスク

運動のやりすぎによる心臓病や脳卒中のリスクは、海外の研究により明らかとなりました。カリフォルニア大学ローレンスバークリー研究所の研究結果では、1週間に48kmのランニング、あるいは74kmのウォーキングを続けた人は心臓病のリスクが65%低下し、運動量が増えると心臓病による死亡リスクは低下することがわかりました。

ところがそれ以上の運動をすると、かえって心臓病のリスクが上がり、運動によって主要なホルモンが低下することで、頭痛や不眠、筋肉の減少、骨がもろくなるなどのさまざまな不調が表れることが明らかになりました。運動の効果はグラフでJ字型の曲線を表しており、週48km以上のランニングは、危険性を高めることが示されています。また精神面にも大きく影響しており、意欲が衰え、気持ちが沈みがちになってしまいます。

また、ドイツのドイツがん研究センターの研究では、余暇時間の自発的な激しい運動の頻度と生存の関係性を研究したところ、脳卒中のリスクも上がることが明らかとなりました。

心臓病や脳卒中とは

運動をやりすぎると、適度な運動を行う人よりも心臓病や脳卒中のリスクがあがります。ここでは、がんとともに三大生活習慣病とされている主な心臓病と脳卒中について紹介します。

●運動のやりすぎによって起こる主な心臓病

・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
虚血性心疾患は、心臓に栄養や酸素を送っている冠動脈が動脈硬化などで狭くなり、心臓が酸素欠乏に陥る状態(狭心症)や、血管が詰まり心臓の一部が死んで動かなくなる状態(心筋梗塞)のことをいいます。生活習慣病に関わる重大な病気で、最初の発作で突然死することもあります。
・ 弁膜症
心臓には血液の逆流を防ぐ弁があります。これらの障害による病気を弁膜症といいます。弁膜症には、弁が硬く開きにくくなる狭窄症と、弁が閉じきらずに血液が漏れてしまう閉鎖不全症があり、動悸や息切れ、疲れやすい、胸痛、呼吸困難などの症状があらわれます。
・ 不整脈
心臓は規則正しい電気的刺激とその伝導で動いています。この刺激が乱れたり断線すると、心臓の収縮がうまくいかずに不整脈となります。症状があらわれないこともありますが、動悸を感じることが多く、前触れなく失神する場合もあります。
・ 心不全
心不全は、ポンプとしての心臓の働きが弱まり、全身に必要な血液が供給されない状態、あるいは血液の流れが滞る状態をいいます。

●脳卒中

脳の血管が破れる、または詰まってしまうことで、脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞に障害が起こる病気です。約3時間以内に治療をすれば、後遺症が軽くなることがあります。原因によって、(1)脳梗塞(脳の血管が詰まる)、(2)脳出血(血管が破れる)、(3)くも膜下出血(動脈瘤が破れる)、(4)一過性脳虚血発作(TIA)(脳梗塞の症状が短時間で消失する)の4つに分類され、最悪の場合は死に至ります。

適度な運動とは

やりすぎは禁物ですが、適度な運動を行うことで、三大習慣病(脳卒中、心臓病、がん)のリスクは低下します。日頃から適度な運動を行い、健康な体を維持しましょう。

・ 1回の運動時間は20~30分間を目安に行いましょう。

・ マラソンやウォーキングなどの全身持久力の運動は、始めてから15分経過すると脂肪が燃焼され始めるため、15分以上は続けましょう。

・ 腹筋などの筋力運動は、力まず、ゆっくり息を吐きながら行いましょう。

・ ストレッチやヨガなど柔軟運動は、息を吐きながら、10~30秒ほど伸ばしましょう。

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