健康トピックス

医療トピックス

2017.08.07

「ボツリヌス症」に注意

ボツリヌス症とは

ボツリヌス症とは、食品にまれに含まれるボツリヌス菌を摂取したことで感染する病気です。ボツリヌス症には、「乳児ボツリヌス症」「ボツリヌス食中毒」などがあります。

一般的によく知られている「乳児ボツリヌス症」とは、1歳未満の乳児が、ハチミツや黒糖など食品の中に含まれるボツリヌス菌の芽胞を摂取することによって発症する病気です。ボツリヌス菌の芽胞は、大人が食べても害はありません。しかし乳児は、腸内の粘液の自浄作用が未熟で腸内環境が不安定です。そのため、腸管内で芽胞が発芽し増殖することで発生したボツリヌス毒素を吸収してしまい、ボツリヌス症を引き起こします。症状としては、便秘状態が数日続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が起こり、最悪の場合死に至ります。

大人はボツリヌス菌の芽胞を摂取しても、腸内では増殖しないと言われていますが、すでに増殖している食品を食べると食中毒を引き起こします。これを「ボツリヌス食中毒」といいます。ボツリヌス菌が増殖するとボツリヌス毒素が産生され、摂取した8~36時間後に、吐き気や嘔吐、聴力障害、言語障害、食べものが飲み込みづらくなる嚥下障害など神経症状が現れ、重症化すると呼吸麻痺により死亡します。酸素のない密封された状態の食品(ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品)を摂取することで、食中毒が発生する場合があります。

乳児ボツリヌス症の症状

乳児の場合は、病気になった場合でも気づきにくい傾向があります。下記のような症状が見られた場合はかかりつけ医に相談することをおすすめします。

・ 順調に発育していた乳児が便秘傾向を示し、一定期間続く
・ 哺乳力が低下する
・ 泣き声が小さい
・ 顔面が無表情になる
・ 頭が支えられなくなる
・ 瞼が下がる
・ 瞳孔が開いている
・ 対光反射がゆっくりになる

ボツリヌス症の予防方法

乳児ボツリヌス症
ボツリヌス菌の芽胞は熱に非常に強く、芽胞を死滅させるには、120℃4分間以上の加熱が必要となり、通常の加熱調理では死滅しません。そのため、1歳未満の乳児には、はちみつを直接あげることはもちろん、離乳食にもはちみつを使わないでください。なおジュースやコーンシロップなどにも、はちみつを使用している可能性があるため、与える際に十分注意が必要です。
ボツリヌス食中毒
ボツリヌス菌の芽胞は土壌に広く分布しています。そのため、ボツリヌス食中毒の予防には、食品の中での菌増殖を防ぐことが大切です。
真空パック商品や缶詰
レトルトのパウチ食品や缶詰のほとんどは、120℃4分間以上加熱されているため、常温保存が可能ですが、「食品を気密性のある容器に入れ、 密封した後、加圧加熱殺菌」という表示の無い食品、あるいは「要冷蔵」「10℃以下で保存してください」などの表示のある場合は、必ず冷蔵保存して 期限内に消費してください。
家庭での調理
120℃ 4分の加熱処理がされていない食品や自家製の缶詰などによる食中毒が多く、注意が必要です。家庭で缶詰、真空パック、びん詰などをつくる場合は、原材料をしっかりと洗い、120℃ 4分の加熱処理をしましょう。保存は、3℃未満で冷蔵又はマイナス18℃以下で冷凍してください。
ボツリヌス毒素は、80℃30分間(100℃なら数分以上)の加熱で失活します。食べる直前に十分に加熱すると効果的です。

なお、真空パックや缶詰が膨張していたり、食品に異臭(酪酸臭)があるときには絶対に食べないでください。

乳児ボツリヌス症やボツリヌス食中毒の症状があらわれた場合は、速やかにかかりつけ医に相談し、適切な治療を受けましょう。

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