医療現場からの提言

2016年

vol.07 熱中症、水分と温度に注意

毎年この時期になると、熱中症が問題になります。気を付けてはいますが、誰でも熱中症になってしまう危険があると思います。効果的な対策を教えてください。

宍倉:

今年もまた暑い夏がやってきました。すでに熱中症が猛威をふるっていますが、夏を健康に乗り切っていくために、熱中症対策のポイントをお話しします。

①体調管理が基本。十分な睡眠と栄養を。

睡眠不足で疲れがたまっていたり、食事が不規則で栄養不足だと、基礎体力が低下します。体調不良下では、体温上昇や脱水などの熱中症の初期症状を自覚することが遅れますし、発汗による体温調節機能も低下します。

水分補給が大切だと聞きます。

宍倉:

②水分補給を過信しない。

体温を下げる目的で多量の汗をかく生物は、驚くことに人間だけです。そのためには適切な水分と塩分・糖分が必要ですが、口から飲んでも消化管からの吸収には限界があります。暑い屋外では、1時間に約1.5~2リットルの汗をかくことがありますが、最適な組成の経口補水液を用いても、吸収できるのは1時間に約1リットルが限界といわれています。

また、スポーツ飲料などの多くは意外に糖分を多く含んでおり、飲み過ぎて糖尿病を悪化させることが問題になっています。

最も重要なことはなんですか?

宍倉:

③やはり、環境温度を下げることに尽きる。

日本より熱い東南アジアでは、日本ほど熱中症患者は発生していません。それは、古くから熱い環境に合わせた生活が身についているからです。彼らのほとんどはエアコンなどがない環境で夏を乗り切ります。

その秘訣は「環境温度を下げること。暑い屋外には出ないこと」なのです。仕事は早朝の涼しい時間に移し、昼は日陰で休息と水分補給。時間より屋外の気温を優先し、屋外に出るような仕事は、その日の気温で早朝や夕方に臨機応変に移動させるなど、工夫しています。

もちろん、予定を優先して暑い最中にスポーツ大会を行うようなことはしませんし、無理して熱い日中に屋外で作業することも避けています。

熱中症先進国の東南アジアを見習い、こまめに涼しい環境で休みながら十分な水分補給を行い、また、シャワーや水風呂なども適度に活用して体温を下げ、夜は風通しをよくしたりエアコンを使って環境温を下げるなど、体に負担を掛けない熱中症対策を心掛けましょう。

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