地域医療再生プログラムとは?

第7回 千葉県が将来をにらんで取り組む
「医療従事者の確保・資質向上」

?3本柱の対策でモデル医療圏を支援し、全県向けのノウハウを蓄積?

2012.04.20   文/桶谷仁志

 医師不足に悩む山武長生夷隅保健医療圏では、前出のような「千葉県地域医療再生プログラム」に沿った取り組みを進めたとしても、若手医師にとって魅力的な研修指定病院がすぐさま整備できるわけではありません。そこで、千葉市にある千葉県救急医療センター(高度救命救急センター)で、最先端の救急医療研修を受けられる環境を整えます。これによって、山武長生夷隅保健医療圏の救急医療の担当者が救急に関わる最先端の医療技術を学べる研修を実施します。

 一方、千葉大学に、地域の救急医療等を研究するための寄付を行い、その研究の一環として、山武長生夷隅保健医療圏をはじめとした地域の病院に、千葉大学から救急医を派遣してもらいます。この救急医からの指導を受けられることから、地域の病院にいる救急担当の若手医師のモチベーションも高まることが期待されます。こうした取り組みを突破口にして、山武長生夷隅保健医療圏の救急医療体制が再生に向かえば、その蓄積されたノウハウに基づいて、救急医療再生のための取り組みを全県に広げていくことも可能でしょう。地域医療再生のために選ばれたモデル医療圏への期待は、そういう意味でも大変大きいのです。

 長きにわたった連載の最後に、2つのモデル医療圏と千葉県による年度ごとの取り組み進行計画を示したスケジュール表を掲げておきましょう。「千葉県地域医療再生プログラム」は2013年度(平成25年度)でひとまず終了しますが、この計画の成果を生かした取り組みは、以後も形を変えながら続くものと期待されています。

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