地域医療再生プログラムとは?

第6回 山武長生夷隅保健医療圏の
「地域医療再生計画」その2

?「救急医療体制」をいかに改善するか?

2012.01.20   文/桶谷仁志

回復期リハビリ整備とコーディネートシステムの構築

 第3の対策は、回復期リハビリテーション(以下、回復期リハ)の整備です。救急医療機関で急性期治療を受けた患者は、その回復期にはリハビリを通じて失われた機能をできる限り回復し、家庭や地域社会に復帰していく必要があります。その際、救急医療機関から患者を引き継ぎ、リハビリを実施するために必要なのが回復期リハ病床です。救急医療機関の空き病床を確保するためにも、回復期リハ病床は必要ですが、山武長生夷隅保健医療圏には従来、回復期リハ病床がありませんでした。そこで、回復期リハ病床の新設のために、既存の病院などに回復期リハ施設の機能を付加するため、必要な支援を行うとしています。

 第4は、救急医療コーディネートシステムの構築です。現状の救急搬送体制では、現場に赴いた救急隊員が患者の状態を把握し、搬送先を選定しています。ところが、実際には、医師不足等の影響もあってか、医療機関に打診しても、搬送先がなかなか決定しないケースもあります。そこで、救急搬送の円滑化を図るため、患者の疾患ごとに救急搬送を調整する救急搬送コーディネート体制を構築していくとしています。

 最後に、医療機関の連携・ネットワーク化への取り組みです。限りある医療資源を有効に活用するには、医療機関同士の役割分担、有機的な連携がぜひとも必要です。これを実現するために、香取海匝保健医療圏で予定されている取り組みと同様に、千葉県共用地域医療連携パスの普及推進、ITを利用した自治体病院・民間病院・診療所等の情報共有化システムの構築等を実施していくとしています。

 今回、「千葉県医療再生プログラム」の対象地域に選ばれた2地域での取り組みを成功に導くためには、地域独自の対策に加えて、全県的な体制整備も必要となります。例えば、医師不足は地域の取り組みだけで解消するような課題ではないからです。そこで、最終回の次回は、千葉県による医療従事者の確保・資質向上のための対策を見ていきます。