地域医療ニュース

ベストセラー「『平穏死』のすすめ」の著者が語る
これからの幸せな最期の迎え方

2013. 07.05   文/大森勇輝

「三宅島では、最後は水を飲んで自然に亡くなる」

 石飛氏が勤める芦花ホームでは、かつてこういうことがあった。入所者にしっかり食べてもらうという方針のもと食事をさせたところ、誤嚥性肺炎を起こしてしまい、それがきっかけで訴訟へと発展して結局賠償金を支払うことになったのだ。そのため、石飛氏が勤め始めたころは、何かあるとすぐに入所者を病院に送り、結局胃ろうを造設してて帰ってくることの繰り返しだったという。

 しかしその後、石飛氏や職員の意識を変える2つの出来事があった。

 一つ目は、噴火が起きた三宅島からホームに入所してきた女性のケース。女性が誤嚥性肺炎でホームから病院に運ばれたところ、医師から胃ろうをつけるしかないと言われ、言われるがままつけた。ところが、いざ胃ろうをつけた女性の姿を見た息子が衝撃を受けてしまう。「三宅島ではこんなことはしない、最後は水を飲んで自然に亡くなるのに」というのだ。

三宅島では、食べれなくなれば最後は水を飲んで自然に亡くなるという。(クリックすると拡大します)