医療者から見た地域医療のいま

長生郡市の地域医療はいま

2012. 01. 24   

住民・医療関係者は地域医療をどう考えている?

 これまで見てきた長生郡市の医療を取り巻く現状に対し、住民、医療関係者は今、このように考えています。

 住民にしてみれば、「救急車で管内をたらい回しされたあげく管外に搬送された」「医師や看護師が少ない」「現状は深刻」といったように、やはり、医療の現状に対する不満・不安は少なからずあります。とりわけ「深夜、小児を受けて入れてくれる病院が少ない」「夜間救急診療所に小児科医が少ない」など、小児科に対する不満が多いのが実情です。

 

 一方で、医療関係者もときにマナーを守らない患者に困っています。例えば、本来は急に体調が悪くなった人を診療する夜間急病診療所内を、元気に走り回っている子どもがいる、あるいは、昼間に診療を受けられるにもかかわらず、わざわざ夜間救急の診療を受けるいわゆる「コンビニ受診」をする人が増えているなどなど。また、医師に対して「つべこべ言わずにさっさと診ろ」「何さまのつもりだ!」のように暴言を吐く患者さんもいます。

 さらに、医療関係者の頭を悩ませているのが、救急車の安易な利用です。消防庁のホームページに紹介された例では、「蚊に刺されてかゆい」「海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする」「病院でもらった薬がなくなった」といったように、とても急とは思えない用件で救急車を呼ぶ人が実際問題いるといいます。長生郡市管内でも「赤ちゃんにミルクを飲ませた後、ゲップが出ない」といった例もありました。

 もちろん、このような状況に対し「住民一人ひとりの意識改革が必要」「地域住民・行政・病院がもっと協力しあうことが重要」といった声が上がりつつあるのも見過ごしてはならないでしょう。

 さて、こうした現状をふまえて、未来の地域医療のあり方について考えるべきことは何なのでしょうか?

 地域医療は、その名の通り地域ごとに特徴があります。実は、テレビドラマに出てくるような医療機関が集まっている地域は、都心などごく一部にすぎません。皆さんが住んでいる長生郡市をはじめ、多くの地域の医療サービスには限界があります。そうした地域の皆さんが都心と同じようなサービスを求めると、医療体制はますます疲弊してしまいます。

 こうした厳しい現実を乗り切るために、いまこそ、医療関係者、行政、そして住民の皆さんの協力が必要なのです!