健康トピックス

2019.05.08

深刻な病気につながる「脂肪肝」

脂肪肝とは

脂肪肝は、食べ過ぎや運動不足により、余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまった状態をいいます。見た目がスリムな人でも、軽度な脂肪肝の場合があります。糖尿病の人は、糖尿病そのものが悪化する原因となる可能性があるため、注意が必要です。

肝臓は再生能力・代償能力に優れており、ダメージを受けても残った細胞が働きを維持しています。痛みなどの症状が出ることはあまりないため、肝臓に異常があっても気づかずに、気づいた時には、病気がかなり進行している場合があります。脂肪肝になると、狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併症が高くなるだけなく、肝臓などに作用して血糖値を下げるインスリンが効きにくくなり、「インスリン抵抗性」が進行しやすくなります。

脂肪肝は、お酒の飲みすぎた人がなる「アルコール性脂肪肝」と、お酒をあまり飲んでいないのに肝臓に脂肪がたまってしまう「非アルコール性脂肪肝」があります。アルコール性脂肪肝の場合は、全身のだるさ、食欲不振などの症状起きることがあり、肝炎や肝硬変になる可能性があります。非アルコール性の脂肪肝でも同じように肝臓の病気が進行してしまう可能性があります。脂肪肝は、心臓や血管系の病気を引き起こす原因になりかねないため、生活習慣を改善する必要があります。

脂肪肝の原因

脂肪肝の原因は、次のような場合が考えられます。心あたりがある場合には、生活習慣の見直しが大切です。

1.食べ過ぎ
カロリー過剰の食事、特に糖質や脂質を多く含む食べ物を摂りすぎると、皮下脂肪と同じように、肝臓にも脂肪がついてしまいます。運動不足にも気をつける必要があります。
2.肥満
脂肪をエネルギーに変えるためには、インスリンが重要な働きをしていますが、太るとその効き目が低下してきます。すると、体中のあらゆる脂肪が離れやすくなり、肝臓に運ばれ、脂肪が溜まっていきます。また、肝臓の中での脂肪の合成も盛んになります。
3.アルコール
お酒を飲みすぎると幹細胞の中での脂肪の入れ替わりがうまくいかなくなり、肝臓に脂肪が溜まっていきます。
4.急激なダイエット
ダイエットでタンパク質が不足すると、中性脂肪を血液中に送り出すことができなくなるため、肝臓に脂肪が溜まっていきます。
5.その他
糖尿病や甲状腺、下垂体、副腎などの内分泌の病気がある場合は、脂肪肝になることがあります。

脂肪肝の治療・予防

脂肪肝の治療には、生活習慣を改めることが何よりも先決です。アルコールの摂りすぎが原因の場合は、飲酒を控えることが大切です。肥満が原因の場合は、食事療法と運動療法で適正体重に戻しましょう。食事療法は、なるべく間食を摂らないように心がけ、三食をバランスよく摂り、飲み物は甘いジュースなどを避けます。食べたものはすべて肝臓に運ばれるため、動かなければ脂肪になって溜まってしまいます。就寝の2時間前までには、食事を済ませるようにしましょう。運動療法は、体内の脂肪を燃焼させるため、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行いましょう。関節に負担をかけない程度の筋肉トレーニングやヨガなどの運動を加えると、筋肉量が増加して基礎代謝も高まるため、さらに効果的です。

予防のためには、BMI数値[体重(kg)÷(身長(m)の2乗)]などで、自分の体格や体重を確認しましょう。血液検査や画像検査を受け、自身の肝臓の状態を知ることも大切です。また、現在の生活を見直していくことが非常に重要です。

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