浦安市医師会

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健康コラム2013年

乳がん □ほくろのガン □鼻閉 □卵巣と卵子のお話


乳がん

乳がんの多くは乳房に出現するしこりとして発見され、放置すると次第に大きくなると共に、腋の下のリンパ節や肺臓・肝臓・骨などへ転移する悪性の腫瘍です。
乳がん死亡者数は全国交通事故死者数(2010年)の2倍以上もあります。発病する頻度は、女性の臓器別がんでは最も多く、年間5万人以上が発見され、およそ16人に1人の割合と推計されている、他人事では済まされない病気で、もはや国民病と言っても過言ではありません。特に他の臓器がんと比べ、若い年代層に多く、30~40歳代にかけて急激に増え、45-50歳にピークを呈するのが特徴です。しかし、乳がんを特別に怖がる必要はありません。他の臓器がんと同様に早期発見・早期治療すればよく治るがんでもあります。そのためには検診が有効です。検診には、自己検診と集団検診があります。乳がんは表面臓器であり自分で乳房内の硬いしこりの有無を触診する自己検診方法や、集団検診でのマンモグラフィーや超音波検査などがん発見に有効な検査方法もあります。

浦安市でも、30歳代の方に毎年1回乳がん超音波検診を、40歳代の方は「マンモグラフィー・視触診検診」と「超音波検診」を毎年交互に受診することができます。ただし、乳房疾患の方、しこりなどの症状のある方は検診範囲外で専門医を受診ください。乳がんは早期に発見されれば、治る可能性の高いがんです。自分の健康に気をつけ、家族のためにも検診を受けましょう。

【杉山クリニック 院長 杉山 和義】


ほくろのガン

テレビで時々取り上げられるためか、ほくろを心配して受診する方がいます。ほくろのガン(メラノーマ)は人口の高齢化、オゾン層破壊などにより世界中で増加しており注目されています。
メラノーマは悪性度が高く進行が速いため、治療が遅れるとほとんどが生命に関わります。日本での発生率は10万人当たり1.5~2人、年間1500~2000人と多くはありませんが、メラノーマによる死亡者が約500人もいます。しかし、初期の段階では短期間に手遅れになることはまずありません。早期に見つければ手術でほとんど治すことができます。ですから早期発見が重要です。

そのためには、1年に1~2回、自分で皮膚を点検することをおすすめします。今までなかったほくろやシミが大きくなったり、以前からあったほくろが大きくなったり形が変わったりしたら皮膚科を受診しましょう。
皮膚科ではダーモスコピー検査(皮膚の少し深くまで拡大して詳しく見る検査)をします。この検査で良性のほくろや血まめなどと区別がつき、早期発見しやすくなってきています。痛みのない簡単な検査ですので安心して受診してください。
また、仕事やスポーツで長時間過度の紫外線を受ける場合には、皮膚を防御することが非常に大切です。紫外線を浴びることはメラノーマだけでなく、それ以外の皮膚がんにおいても発生の原因の一つといわれています。日焼け止めを塗る、帽子、日傘、長袖の服を身につけるなど普段の生活から紫外線に注意して、皮膚がんの発生を予防しましょう。

【明海皮ふ科 院長 本橋 尚子】


鼻閉(鼻づまり)

風邪の時、鼻がつまり、苦しい思いをしたことはありませんか?
口呼吸となり、喉が渇いて痛くなります。食事の時に、味や匂いが分からなくなったり、夜眠れなくなったりします。頭がボーとしたり、イライラの原因にもなります。赤ちゃんは、鼻がつまるとミルクの飲みが悪くなり、機嫌も悪くなります。 慢性の鼻閉は慣れてしまうので、本人が自覚しなくなり、周りの人も気づかないことが多いようです。幼児期の聞こえの悪くなる原因のひとつである「滲出性中耳炎」も、鼻閉が影響しています。口呼吸が続くと「アデノイド顔貌」という特徴のある無気力な顔つきになることが知られています。

いびきをかく人も、鼻閉が原因である事が多いです。
「睡眠時無呼吸症候群」という病名を聞いたことがあると思いますが、これは10秒以上の無呼吸が一晩に30回以上ある状態です。「夫のいびきがうるさくて眠れない。」などと家族の苦情がきっかけで発見されることがあります。将来、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険があると指摘されておりますので注意が必要です。
鼻閉の原因には、固定しているものと変動するものがあります。固定性鼻閉(鼻中隔彎曲症、鼻茸、アデノイド増殖症など)は手術が必要になります。変動性鼻閉(アレルギー性鼻炎など)に対しては薬物治療が可能です。気になりましたら、お近くの耳鼻咽喉科にご相談ください。内視鏡や放射線検査が必要な場合もありますが、簡単な診察だけでも診断できることが多いです。

【阿久津耳鼻咽喉科医院/浦安駅前あくつ耳鼻咽喉科医院 院長 阿久津 勉】


卵巣と卵子

女性の卵巣は、23歳頃までに正常な働きを形成し、その後約10年間、妊娠に適した環境を維持し続けます。しかしながら、その働きも35歳頃をピークとして徐々に機能が低下し、通常50歳前後でほぼ働きを終えます。「更年期障害」と呼ばれる状態の本質は、この卵巣の働きの低下にあり、ホルモン補充療法や漢方療法など産婦人科の先生方の治療対象となっている訳です。
 一方、「卵子の老化」と呼ばれる状態が、最近よくマスコミで取り上げられるようになりました。これは、主に不妊治療(体外受精)などの子作りに際して問題となる状態であります。男性の精子と異なり、一生涯の女性の卵子の数には限りがあり、女性は年齢で40歳を過ぎる頃になると、卵巣の中の排卵されるべき卵子に妊娠に適した卵子が少なくなると言う女性の誰もが避けられない状態のひとつな訳です。故に、「卵子の老化」とは、妊娠を考えていない女性の方には、日常生活には一切関係のない状態な訳です。

しかしながら、「30歳でも卵子の老化が起こる」などと、体外受精の関連としてマスコミで大きく煽られる為に、視聴者としての一般女性の多くは、不妊治療を行っていなくとも卵巣機能の低下と卵子の老化を同じ事と考え、老化を起こさないための危機感を誤って持ってしまう訳です。プラセンタやある種のサプリメントは、卵巣機能の低下(更年期障害など)に対しては有用でも、卵子の老化に対しては無意味なものです。

【パークシティ・吉田レディースクリニック 院長 吉田 豊】

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