浦安市医師会

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健康コラム2005年

救急疾患シリーズ「突然の腹痛」外科編 □「けいれん」 □「突然の不安発作」 □「鼻出血」


救急疾患シリーズ「突然の腹痛」外科編

急にお腹が痛くなってトイレにかけ込むという経験はだれでもある事だと思います。
しかし、急にお腹が痛くなり様子をみていたがどうも落ちつく気配がない。どうしたら良いか困った。そういう時の考え方についてこれから説明してみたいと思います。
まず、突然の腹痛をひき起こす原因として最も多いものは、急性胃腸炎(ウイルス性・細菌性)です。これは夏場でも冬場でも流行がみられ、吐気・下痢・発熱・だるさが主症状で、内服や点滴で軽快します。次に、皆さんがよくご存知の急性虫垂炎(俗に盲腸)があります。右下腹部の痛みや圧痛が特徴ですが、初期には“みぞおち”の痛みが主症状となる事がありますので注意が必要です。最近は程度が軽ければ、保存的治療と言って、抗生物質の点滴や内服によって治す事が多くなっています。

この他にも、炎症性の病気として、大腸憩室炎・結石性の病気として、胆石症や尿路結石・閉塞性の病気として、腸閉塞や腸重積、便秘(子供では意外と多い)・婦人科系の病気として、子宮外妊娠や卵巣茎捻転・その他、胃潰瘍や心因性など種々の疾患が挙げられます。当然原因が異なれば治療もそれぞれ違いますので、腹痛の原因をはっきりさせるため医師に診断を受ける事が重要です。急な腹痛のなかには「急性腹症」といって緊急手術が必要となる場合がありますので注意が必要です。

【森下クリニック 森下 一】


救急疾患シリーズ「けいれん」

 けいれんは脳が異常興奮することにより起こります。原因は熱性けいれん、てんかん、低血糖、電解質異常、脳の感染症や障害、脱水、下痢などがあります。小児では熱性けいれんが多いため、今回は熱性けいれんについて詳しく話します。

 熱性けいれんは生後六ヶ月~六歳ぐらいまでに起きやすく、急に高い熱が出たときに、白目をむいて、左右対称に全身がピクンピクンとなります。歯はくいしばっていて、時に口から泡をふくこともあります。ほとんどが一~二分の間に止まってしまいます。その後は眠ってしまうことが多いのですが、ボーとしていることもあります。頻度は幼児の七~八%位で、何度も繰り返すことはまれです。対処としては、短時間にけいれんはとまってしまいますので、慌てずに衣服をゆるめ、吐いたものが肺につまらないように首を横に向けて下さい。よく「舌をかむので、口に物を入れる」と言いますが、舌をかむことはほとんどなく、むしろ無理に入れると、折れた歯や、口の中を傷つけた血が肺につまり息ができなくなってしまうので、口には物を入れないで下さい。短時間に繰り返す場合、10分以上続く場合、顔色が悪くなる場合、けいれんが左右対称でない場合、けいれん後麻痺が残る場合はほかの原因が考えられますので、すぐに病院に連れて行って検査を受けて下さい。

【松丸小児科アレルギー科クリニック 松丸 信一】


救急疾患シリーズ「突然の不安発作」

不安感は誰でもが感じるものですが、突然胸がドキドキしたり、息苦しくなったり、めまいがしたりなどの身体症状を伴う激しい不安の表出を不安発作(最近はパニック発作と呼ばれる事が多い)といいます。
不安発作は生活環境の変化や仕事の負担増加、あるいは自分にとっての苦手な状況(閉所、高所、対人場面での緊張)などの精神的ストレスが原因となり、それが自律神経のバランスを崩し動悸、過呼吸、めまい、発汗などが出現します。人によっては「このまま死んでしまうのではないか」と思うほどの強い恐怖感を感じる場合もあります。また、繰り返し体験すると「また起きたらどうしよう」といった不安(予期不安)が苦手な場所や乗り物を避ける行動へとつながり、さらに日常生活に支障をきたし、できない自分を責める気持ちやゆううつな気分も強まるといった悪循環に陥ることがあります。

治療としてはストレスをできるだけ軽減し苦手なことには無理して関わらないなど、安心して生活できる環境を整える事と薬物療法が効果的です。不安発作やうつ気分の時には脳内の神経伝達物質(セロトニン)のバランスが乱れていることが判っており、最近はそのバランスをととのえるSSRIという薬が治療効果を高めています。きちんと治療すれば治る症状ですので心配な時は是非、心療内科や精神科で相談してみてください。

【高木メンタルクリニック 高木 一郎】


救急疾患シリーズ「突然の頭痛」

前ぶれがなく突発的に起きる頭痛で問題となる病気は、クモ膜下出血・脳出血などです。
クモ膜下出血時の頭痛は「突然、後頭部を何かになぐられたような激しい頭痛で今までに経験したことがない頭痛」です。出血の程度、部位により頭痛の程度や意識状態その他の症状が急速に変化する病気であり、その原因は主に動脈瘤(脳底部に出来やすい血管のコブ)の破裂です。このような頭痛があれば緊急の検査が必要です。その他のクモ膜下出血の原因として若年者では、脳動静脈の奇形よりの出血まれにモヤモヤ病があります。

次に脳出血時の頭痛ですが、脳の内部で出血するため、少量なら頭痛がない場合もありますが、徐々に出血量が増えてきて、頭痛、嘔吐、意識状態の悪化、運動マヒ等が出現してきます。
その他で多いのは、緊張型頭痛や偏頭痛であり、この両者は冒頭に書いた「突然」または「いつもと異なる頭痛」ではなく、前日または当日朝から少し頭痛があり、それが急激に強くなり、「突然の頭痛」と訴えて来院する方が多いのが現状です。 頭痛の原因としてはその他種々の病気があります。
それぞれの病気を鑑別するためにかかりつけ医に相談することをおすすめします。

【浦安中央病院 高須 信美】

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