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5月病について
太田 不二雄
(精神保健指定医、心身医学科認定医)
(医)聖母会 聖マリア記念病院
セントマリアクリニック
 若葉が萌え、さわやかな5月に入り、新学期や入社の時期がすぎ、そろそろ緊張がほぐれる頃なのに、無気力で勉強や仕事に身が入らない、集中力がない、強く疲労を感じる。など・・・・
 このような症状が出てきたら要注意です。あなたも5月病のサインかもしれません。この季節になると、話題に上がる5月病とは、どのような病気なのでしょうか?
◆  5月病とは・・・ ◆
 5月病とはよく知られた言葉ですが、いわゆる俗名で、医学用語ではなく、決められた定義や概念があるわけではありません。専門医の間では、アパシーシンドロームと言われています。
 スチューデントアパシー(学生の無気力症)、サラリーマンアパシー(サラリーマンの無気力症)があります。
 受験勉強して、やっと入った大学なのに、5月のゴールデンウイークを過ぎた頃から、急に学校には興味を失って、無気力な状態になってしまう若者がいます。スチューデントアパシーといいます。又、高い競争率を抜けてやっと一流企業に入社した若者がやはり、5月休み明けの頃から、急に仕事に対する関心や意欲を失い無気力な状態に陥ってしまう若者が増えています。いわゆる5月病と言っています。
 また、このような現象は、5月だけでなく夏休み後の9月にも見られると言われています。
◆  5月病の原因  ◆
 大学生や社会人になって、一人暮らしになったり、時間に追われる生活になったり、環境が大きく変わります。
 又、4月には、学校や職場でいろいろな行事や新しい人間関係作りで、また心身にさまざまなストレスがかかります。
 一方では、期待に膨らませて入った大学や、職場への失望感・・・。
 次の目標、進路の喪失などがあります。5月になって、ゴールデンウイーク明けの頃、心身の重積したストレスとなっていきます。
◆  どのような人がなりやすいですか? ◆
 性格は、1つの重要な因子ですが、タイプとしては非常に真面目で几帳面、完全主義な人、内気で孤立しやすい人といった共通点が見られます。又、一方頑固で融通がききにくいといった面も見られます。一般的に新しい環境に適用しにくい性格と言えます。
◆  どんな症状が出現しますか? ◆
 精神的には、何もやる気が出ない、根気がない。おっくうなどの症状や将来目標や進路の喪失感などが出てきます。不登校や出社拒否として表れる場合もあります。
 身体的には、感冒症状や食欲不振、下痢、悪心、吐気、腹痛など消化器症状、睡眠障害、頭痛、めまい、動悸など自律神経症状が出現しやすいです。
◆  どうすれば予防できますか? ◆
 ストレスや疲労を感じたら、ストレスをためないように気分を解放する、自分にあった解消法を見つけましょう。
 趣味のスポーツや音楽を聴いたり、自分の好きなことをしたり、のんびり休んだりして、一人で悩まず家族や友人や又、専門医に相談(カウンセリング、精神療法など)してグチを聞いてもらいましょう。会話の中で、自分の悩みが客観的に整理できたりして、前向きに対処できるようになるでしょう。また、症状が進んで、不安、焦燥、うつ状態などが強い場合には、専門医(心療内科、精神科など)を受診してみましょう。一時的に抗うつ薬、抗不安薬を使うことも有効です。適量の薬で、はやく症状が改善することもあります。
◆      最後に     ◆
 5月病、いわゆるアパシーシンドロームは、一種の自己防衛反応とも考えられています。挫折感を味わって、無関心、無気力、無感動など自分への喪失感から逃避しようとすると言われています。
 さまざまな症状は、長い人生の中の一つのサインとしてとらえて、自分を追い詰めず、新しい関心や目標を見出し、生活に刺激を与えて前向きに生活することが必要です。