地域医療ニュース

地域別公開講座「最期まで自分らしく生きる」
が開催される

2013. 11.28   文/梅方久仁子

最低限、快適な生活があるか

 本人が最期に「ああよかったな」と思って人生を全うするには、最低限、快適な生活があるかどうかだ。快適な生活とは、まず、苦痛がないこと。それから、残っている能力を発揮できるチャンスがあることだ。例えば、少しでも口から食べられるのに、口から食べて味わうチャンスがなくなるのは、快適とはいえない。

目的は「本人が生きていてよかった」と満足できる人生を全うしてもらうこと。
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そのための具体的な方法は何かを考える。
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 最低限、快適な生活ができて、それをより長くできるのなら、言うことはない。でも、無理に長くと考えると、快適ではなくなってしまう。

 日本老年医学会で、医師、看護師、歯科医師らが参加して、このあたりの考え方をまとめたガイドラインがある。「高齢者ケアの意志決定プロセスに関するガイドライン 人工的水分・栄養補給の導入を中心として」という題で、書籍で出ているし、学会ホームページからもダウンロードできる。是非参考にしてほしい。

 最後に質疑応答になり、「家族の力が重要という話があったが、家族の介護力が弱まっていることをどう考えるか」という問いがあった。高林氏からは「1人でもがんばっている人はいるが、在宅医療に家族の力は、やはり大きい」。清水氏からは、「家族の介護力が下がっている状況では、社会的なケアで対応するしかない。ただ、家族は精神的な支えとして重要だ」といった回答があった。

 難しい課題はあるが、自分の問題として、みんなで考えていくしかない。貴重な情報を得て、さまざまな思いを胸に抱きながら、参加者は帰途についた。